アベノミクスで、本当に給与は上がるのか? 給与増を勝ち取るための、”現実的な”戦略

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ところが、そんな自分の将来を決める重要な基準である人事評価制度を理解していない人が意外に多いのです。就活であれば募集要項を見ないで面接に臨むようなもの。それで昇給するのは難しいものがあります。就活ではなく「収活」も戦略的に取り組むべきです。

大抵の会社では人事評価制度を解説したガイドブックのようなものを社員に配布しています。その配布資料には

・顧客満足度
 ・問題解決力

と重要視している項目が書かれているはず。この重要視している項目を忠実に守り、邁進することが収入アップの近道になります。

時代とともに評価基準は変わる

たとえば、私が取材したネットベンチャーでは、以前は「売り上げと利益」を創出した大きさがいちばん重要な項目でした。評価表には細かく「業務改善目標」なども記載するようにはなっているものの、人事評価会議では

「あいつがいちばん売っていたから、マネジャーに昇進させよう。ボーナスもいちばん払うべき」

といったように決まっていました。ところが、売り上げと利益を追い求めすぎたことで不祥事が続発。その反動で

《売り上げをいくら上げても、社内規定を破ったら高い評価はしない》

と基準が変わりました。それが5年前。現在では、業績のよる評価とコンプライアンス評価が同等。ところが、その変化に気づかずに売り上げはいちばん高いが、社内規定に違反して、頻繁に懲罰を受けるため、同期で昇進が遅れて、給与も上がらないという社員が出てきました。その社員に取材すると、

「売り上げも利益も社内でナンバーワン。それだけ会社に貢献しているのに評価が低いことが理解できない」

と不満を漏らしていました。ただ、おそらく、このままでいれば、昇給・昇進とも自己評価とはまったく違う状態が続くことでしょう。時代と共に基準が変わること、変われば、意固地になるのではなく、柔軟に、会社が期待することを順守していきましょう。

ただ、会社によっては人事評価制度のガイドブックにない、あるいは開示があいまいな場合があります。ある意味で上司や経営陣が鉛筆をなめて、主観で評価をしている会社だからかもしれません。そんな職場は透明でないから辞めたほうがいい……とは言いません。それなりの基準があるはずです。上司や人事部に

「当社の人事評価基準で、大事にしていることを教えてください」

と尋ねてください。真剣に尋ねれば、それなりの回答が返ってくるはずです。このようにして勝ち取った、「会社が大事にしている基準」をベースに、自分の行動と成果を意識すれば、収入は2年以内に上がっていくはずです。
 

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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