元商社マンが挑む「湘南モノレール」活性化 社長募集に応募し転職、乗客増に手応え

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大船-湘南江の島間を結ぶ湘南モノレール(撮影:尾形文繁)

「昨年10月に社長に就任して以降、日々活性化への手応えを感じている。まだまだ伸びしろはある」――。湘南モノレールの尾渡英生社長は自信を示す。

懸垂式モノレールの江の島線(大船駅―湘南江の島駅間6.6km)を運営する湘南モノレールは2015年6月、三菱グループから経営共創基盤の100%子会社「みちのりホールディングス(HD)」に売却された。筆頭株主の三菱重工業をはじめ、三菱電機、三菱商事などの三菱各社によって1966年に設立されてから49年後に起こった大きな変革であった。みちのりHDは、湘南モノレールの活性化に向けたアクションを実行に移すこととなる。そのひとつが、外部からのトップ招聘であった。

乗客獲得へ、23年ぶりのダイヤ改正

尾渡氏は埼玉大学経済学部を卒業後、日商岩井(現・双日)に入社し、双日ロジスティクス国際本部長などを歴任した。50代に入った辺りから転職を意識し、人材エージェント会社に登録したところ、湘南モノレール社長募集の情報提供を受けて応募。その後面接を経て、昨年10月に社長に就任した。

社長就任後、尾渡氏は社員全員との個別面談を行った。そこで得たのは「年間1千万人という乗客数の維持と、それによって得られる収入の範囲内でいかに安全運行を続けるかが優先される余り、収入増を目指す発想がなかった」という問題意識だった。

尾渡氏は乗客獲得に向けて行動を開始した。主に日常利用を増やす重要施策としては今年6月、列車増発を内容とする23年ぶりのダイヤ改正に踏み切った。尾渡氏が増発を提案したとき、社内には抵抗感があったという。しかし、「収入を増やして、安全・安心対策のための投資やバリアフリー化を進めることが、子供たちの世代へモノレールを残していくことにつながる」(尾渡氏)ことを丁寧に説明し、実現にこぎつけた。

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