トランプ勝利もBrexitも「衆愚政治」ではない

エスタブリッシュメントの誤りが証明された

「グローバリゼーションは良いことだ」というエスタブリッシュメントの「常識」は、本当に正しかったのでしょうか(写真:SK Photo / PIXTA)
衰退著しい覇権国アメリカ、混乱する中東、クリミアを強引に奪取するロシア、東シナ海・南シナ海で挑発行為をやめない中国……。
パワー・バランスが大変動する今、「地政学」という、古めかしく、禍々しいニュアンスすら伴った言葉が現代によみがえってきている。一方、これまでの地政学的思考だけで、世界を分析し、生き抜くことは非常に困難ではないだろうか?
『TPP亡国論』において、日米関係のゆがみを鋭い洞察力でえぐり出した中野剛志氏による『富国と強兵 地政経済学序説』が、このほど上梓された。
本稿では、「富国」と「強兵」をキーワードに、トランプ現象や英国のEU離脱の背景にある「イデオロギー」をえぐり出す。

反省しようとしないエスタブリッシュメント

『富国と強兵 地政経済学序説』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

2016年6月の英国のEU(欧州連合)からの離脱の是非を問う国民投票、そして11月の米大統領選をめぐる世界の反応は、驚くほど酷似していた。

まず、いずれも事前の予測を覆す結果となった。そして、いずれの結果に対しても、世界の政治指導者や経済界、有識者あるいはマスメディアの主流派、いわゆる「エスタブリッシュメント」は驚愕し、恐怖し、あるいは侮蔑の視線を投げかけた。曰く、「内向き」「保護主義」「排外主義」「ポピュリズム」等々。

だが、問題は、英国のEU離脱やドナルド・トランプの勝利という結果それ自体にあるのではない。そのような結果を招いた原因の根本は、エスタブリッシュメントが抱くイデオロギーの誤りにある。それにエスタブリッシュメントが気づいていないこと、そして反省しようとしていないこと、そのことが最大の問題なのである。

エスタブリッシュメントが共有するイデオロギーとは、要すれば、おおむね次のようなものである。

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