一流の人が忙しくても瞑想を欠かさない理由 俯瞰し、平常心を保つことが良い結果を生む

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瞑想は呼吸を意識することを通じて、脳と体の時間軸を「今」に一致させることで、脳を安心させ、休めます。反対に未来や過去のことで不安になっていると、心が「今」にいないので疲れやストレスにつながっていきます。瞑想をすると仕事のパフォーマンスが向上するといわれます。具体的には「集中力が上がる」「平常心が保てるようになる」「人間関係が良くなる」などの効果が挙げられています。

東京都内の研修会社社長、瀬尾純一さん(45、仮名)は電車に乗るときや食事のときなど、日常生活の中で1日10~40分の瞑想を実践して約20年になります。瀬尾さんは「瞑想によって、自分の状態がどうなっているかを俯瞰できるようになりました」と話します。

瞑想を習慣にすると、自分の微細な変化に気づけるようになります。瀬尾さんが「いつもなら、呼吸に意識をおけるのに、今日は考えが浮かんできて意識が散漫しやすいな、というときがあります」と明かすように、あるがままの自分を観察できます。

周りの人への洞察力が高まり、人間関係が良くなる

また、瞑想を通じて呼吸や目の前のものや動きなど、一つのことに注意を向けるトレーニングが集中力を向上させます。湧き上がってくる感情と一緒になって流されるのではなく、俯瞰してみることによって、困難なことがあっても「平常心を保つこと」につながります。自分を俯瞰してみるようになると、周りの人に対しても洞察力が高まります。結果として「人間関係が良くなる」のです。

東京都内の精密部品メーカーで会長を務める神山晋作さん(62、仮名)は、「瞑想によって平常心を保てるようになった」と実感している一人です。いろいろな瞑想方法をためした神山さんが現在実践しているのは、出社前にカフェで1時間ほどゆったりとすること。「集中できる時間は短いですから、より効率的な仕事をするためにカフェの時間は自分にとって瞑想のようなものです」

職業柄なのか、神山さんはその因果関係に興味を持ち、アメリカから脳波を計測する機器を取り寄せて自分だけでなく、自身が経営する社員を調べてみました。すると、瞑想状態とほぼ同じ脳波のときに良いアイデアが生み出せていることが分かりました。「会議でいえば終わった後。そこで会議ではリラックスした楽しい雰囲気をなるべくつくるように心掛けています」(神山さん)

では、瞑想やマインドフルネスとは実際どのように行えばいいでしょうか。本格的な瞑想はおおむね以下のようなイメージです。

1.20分~1時間くらいかける
2.場所を決める
3.座禅
4.だれにも邪魔されない
5.心に雑念が一切わかない

「お寺で座禅を組んで、背中を叩かれる」というイメージの人も多いでしょう。そのため「ガチ瞑想」と呼んでもいいかもしれません。

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