東電株主総会、震災後3回目で関心薄れる? 会場スカスカ、国の支持背景に会社提案素通り

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総会開始直前の会場内は空席が目立った

否決された株主提案の議案(議場での補足説明を含む)の中には、「合理的に算定できないことを理由に除染費用を計上していないが、計上すれば実質債務超過であり、会計監査人を解任すべき」という個人株主の提案議案があった。

これに対し東電側は、「福島第一原発1~4号機の廃炉費用については、今後変動する可能性があるものの、合理的な見積もりが可能な範囲で概算額を計上している。だが、除染費用については合理的に見積もることができない」と決算の適正さを強調した。

大株主・東京都や、グリーンピースの提案も拒否

また、大株主の東京都は、「経営の透明性確保のため、発電所の個別収支などの詳細な経営情報を公表すべき」との議案を提案した。

東京都の提案に対し、東電側は、「今年4月に導入した社内カンパニー制のもと、各カンパニーの収支実績を積極的に開示するなど透明性向上を図る」と説明しつつも、発電所ごとの費用情報開示については、「公にすることで卸電力取引所における当社の入札価格が推定される可能性がある」などとして不適切とした。

原発立地自治体の住民からも議案が出されていた。福島県浪江町の女性住民は、「福島第二原発も廃炉にすべき。これが東電としての償いになる。取締役は仮設住宅に1カ月以上住め」と訴えた。新潟県の女性住民は「大量の放射能排出を前提としたフィルターベントの工事を地元の了解もなく進めているが、東電に原発運営の資格があるのか」として柏崎刈羽原発の廃止を求めた。

これに対し東電は、「福島第二は安定的な冷温停止を維持していく。今後の扱いは未定であり、国のエネルギー政策や地域住民の意見を踏まえ検討する」「柏崎刈羽原発は電力安定供給確保のうえで重要な電源。今後の運転再開に向けて安全向上策を確実に実施し、地域の理解を得たい」と反論した。

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