デキない人はPDCAの奥深さに達していない 6つの誤解を解けば誰にも強力な味方になる

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5.改善さえすれば終わっていいと思っている

仕事で問題が起きたら誰しも知恵を絞って事態の解決に全力を傾ける。
ただ、それをもって「PDCAを回した」と思ったら大きな間違いである。
PDCAには「階層」がある。

あるひとつのPDCAには、さらにそれを含む上位のPDCAと、それを細分化した下位のPDCAがある。

そして、上位のPDCAほど回し「続ける」ことに意味がある。たとえば、ソフト開発の過程で致命的なバグが見つかり、チームメンバー全員で原因究明に努めてバグを直したとする。その時行ったのは「バグを解決するためのPDCA」である。バグがなくなったのでPDCAは終わっていい。

しかし、本来であればプロジェクトリーダーは「プロジェクトをトラブルなく予定どおりに終わらせるためのPDCA」も回しているべきである。これが上位のPDCAだ。

大半の人は課題が顕在化した時しかPDCAを回さない。バグが解決した瞬間だけを見ればハッピーエンドだが、しかし、もしかしたらその際、特定のチームメンバーだけが徹夜を強いられていて、現在も不満を抱えているかもしれないわけだ。そうした潜在的な課題にも目を配るには、上位のPDCAをずっと回し続けていないといけないのである。主力のエンジニアが突如チームを去ってしまったら、それまでの努力が水泡に帰す恐れもある。

そうはいっても、ついつい忘れがちになる上位のPDCAを回し続けるのは簡単ではない。自分の意志が弱いならルール化も必要だろう。気が向いた時にジョギングをすることは誰でもできても、毎朝6時にジョギングをするのは一部の人しかできない。

「改善・伸長」と「継続的な改善・伸長」は別物であることを留意すべきである。

小規模なPDCAが複数回っていることが理想

6.大きな課題の時だけ回せばいいと思っている

元来、生産管理の現場などで多用されてきたフレームワークなだけに、ボトルネックとなっている生産工程や、多くの課題が予想される中長期のプロジェクトを対象にPDCAが活用されることが多い。やたらと目立つ大きな課題がある時だけ、PDCAを持ち出すのである。

本来、PDCAは複数抱えることができるものであり、しかも、その対象を選ばない。ということはプライベートでも仕事でも、小規模なPDCAが複数回っていることが理想である。

PDCAに不慣れな人や組織の場合、大きな課題や目標をまず分解してみて、そのなかでも重要で効果が大きい指標に絞って、小さなPDCAをいくつか回したほうが、断然扱いやすくなり、結果的に速くなるのだ。

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