トランプに熱狂する「女性支持者」たちの本音 下品な発言があっても魅せられた

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シカゴのデポール大学に通うカトリック教徒のニコール・ビーンさん(22)は、中絶や(安易に性行為を行う)「フックアップカルチャー」に強く反対している。トランプ氏を支持している彼女に、ほかの学生たちが人種差別主義者や偏見を持っている人という烙印を押したことに、彼女は不満を抱いている。

一方、フィラデルフィアに住むアフリカ系米国人のコミュニティ活動家で、熱心な共和党支持者であるダフニ・ゴギンズさん(53)は、選挙期間中ずっとトランプ氏に票を投じると決めていた。数十年に及ぶ民主党の取り組みがほとんど役に立たなかったと感じていたからだ。トランプ氏が、マイノリティ向けのミーティングに彼女を誘ってくれたとき、「人生で初めて、自分の一票が価値のあるものに感じています」と、同氏に涙ながらに伝えた(ちなみに、出口調査によると、黒人女性でトランプ氏に票を投じたのは黒人女性の4%だったのに対して、ヒスパニック系米国人女性では彼女たちの26%がトランプ氏を支持した)。

女性にとっても最大の関心事は経済

男性のトランプ支持者同様、今回インタビューに応じた女性たちにとっても、経済は最大の関心事だった。たとえば、ガウタさんは夫と月々1800ドルの健康保険料を支払うのにうんざりしているし、元大学職員のリンカーンさんは、保険料を払うために、夫が勤める自動車車体工場で自らも働いている。

ロスに住むオステンドルフさんは、自分の父が営んでいた100万ドル規模のビジネスが、2008年の経済危機で破綻するのを目の当たりにした。彼女の父親は現在、キリスト教青年会(YMCA)でメンテナンスの仕事に就いている。「私は米国が崩壊するのを見てきました」と彼女は言う。「私が感じるトランプ氏の魅力は、彼のビジネスプランです」。

彼女たちの多くは、多文化主義とポリティカルコレクトネス(政治的正当性)を何の疑問もなく支持しているように見える米国に困惑している、とも話す。多くは「Black Lives Matter(黒人の命だって大切だ)運動」を理解できなかったし、なぜ民主党がトランスジェンダーの人が使う化粧室にそこまでこだわるのかもわからなかった。退役軍人の扱われ方にも疑問を持っていたし、警察に対する暴力も理解ができなかったという。

そして彼女たちは、移民やテロの脅威についても懸念を抱いている。

コロラド州のグランドジャンクションに住むヒスパニックのボビー・ホートンさん(67)は、メキシコとの国境に壁を作るという計画に賛成していた。「ビバ・トランプ」と描かれたTシャツを着ていた彼女は、きちんとした法的手段をとらない移民は、入国禁止にすべきだと話す。「彼は、米国の核心を突いたのです」。

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