要注意!iPhone「偽アプリ」急増の深刻度 米国で偽の小売店アプリが何百も出現

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しかし実際には、アップルはもっと悪意のあるソフトウェアの阻止に重点を置いており、毎日提出される何千ものアプリに関して、それが掲げているブランド名とそのアプリ自体に合法的な関係性があるかを常にチェックしているわけではない。

デンバーのポッシブル・モバイルのCEO、ベン・ルーベンスタインは、アプリが買い物の手段としてますます一般的になってきている以上、ブランドや開発者自身が、偽ウェブサイトの存在をチェックするのと同様に、偽アプリの存在をチェックして報告する必要があると言う。ポッシブル・モバイルはゴルフのPGAツアーや、ポケモン・カンパニーなど、多数のアプリを作っている企業だ。

「自社ブランドの名前がどう使われているかをモニターするのは重要なことだ」と、ルーベンスタインは話す。

閉鎖しても名前を変えて出現

ニューヨーク・タイムズが、偽アプリの多くを作っている複数の企業についてアップルに問い合わせると、同社はその後の11月3日の夜に数百の偽アプリを閉鎖した。ニューヨーク・ポスト紙が10月30日に掲載した記事で偽サイトが関心を集めると、その後にもアプリの閉鎖が行われた。

アップルの広報担当、トム・ノイマイルは「アップルは、可能な限り最高の体験を顧客に提供しようと努力しており、安全性については非常に真剣に考えている」と言う。「顧客や開発者が詐欺的なアプリや疑わしいアプリを見つけた場合、それを通報する方法をいくつか備えており、その情報をもとにアップルはただちに調査を行って、アップストアが安全かつ安心な場所であり続けるようにしている。問題のあるアプリについてはすでに閉鎖を行っており、引き続き、リスクを及ぼすようなアプリを警戒していく」。

アップルは9月にも、アップストア内の200万本のアプリすべてを見直し、「予定どおり機能していないアプリや、現在の審査ガイドラインに従っていないもの、古くなっているもの」を閉鎖した。アップルによると、かなりの数のアプリが取り除かれ、見直しはいまも続いているという。

しかし、アップルの努力にもかかわらず、偽アプリは毎日現れている。なかには、アップルの審査を通過した後に中身を変更しているものもある。また、偽アプリの閉鎖がひととおり行われた後に、名前や身元などを変えて似たようなアプリを再度公開しようとする業者もある。

ブランディング・ブランドのメイソンは、「まるで、もぐらたたきゲームのようだ」と言う。

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