シャープの株主総会、経営陣に痛烈な批判 「液晶事業は大失敗」、経営不安を問う声相次ぐ

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――有機ELという話を他社からよく聞くが、シャープのIGZO(液晶)は有機ELに勝てるのか。

水島繁光副社長 有機ELはスマートフォンに一部搭載され、徐々に広がっています。テレビ用途の大型の投入も始まりました。シャープもかなり以前から研究開発を進めていて、業界の先端レベルのメーカーに負けないレベルにある、と考えています。

ただ、有機ELには、解決すべき技術、事業課題が数多くあります。たとえば中小型のモバイル分野では、高精細の面で課題があり、消費電力、あるいは寿命、コストの問題も抱えています。事業化には非常に多額の設備投資が必要で、大型テレビ向けについても、長期課題は共通しています。

これらの解決に向け、シャープは一つのコア技術になるであろう、IGZO技術を他社に先行して、実用化を図っています。IGZOについてはまだ精力的に開発を続けています。今後、有機ELについては、技術課題、事業課題の克服、市場動向を見極め、参入時期、方法を検討していきたい。

また、IGZOに関しては、世界中のディスプレイメーカーが、次世代のコア技術として開発に取り組み、韓国、台湾メーカーは量産の計画を発表しています。当社のIGZO技術も進化を遂げています。今後ともIGZOの技術革新を継続して、他社と差別化を図り、IGZOの普及に向けた取り組みを強化していきたい。

――台湾ホンハイのシャープ本体への出資について、関係当局の許可等が得られなかったために実施されなかったとある。ホンハイとは今後どのように交渉するのか。

高橋 ホンハイとの資本提携に合意してから、今年3月で1年の期日が過ぎました。(出資交渉が進まない)理由としては、通知に記載させていただいたように、台湾当局の認可がなかったからです。私自身は5月に(社長交代の)会見を開いて以降、テリー・ゴウ会長とは二度会っています。一度は台北、一度は東京です。先週も台湾に行ってきました。

その中で、堺のディスプレイの収益をどう上げるかは話し合っています。ただし現在、シャープへの出資の提案は来ていませんし、私どもからもしていません。当然、出資の依頼がくれば協議は開始するが、現時点では来ていません。

許斐 健太 『会社四季報 業界地図』 編集長

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このみ けんた / Kenta Konomi

慶応義塾大学卒業後、PHP研究所を経て東洋経済新報社に入社。電機業界担当記者や『業界地図』編集長を経て、『週刊東洋経済』副編集長として『「食える子」を育てる』『ライフ・シフト実践編』などを担当。2021年秋リリースの「業界地図デジタル」プロジェクトマネジャー、2022年秋より「業界地図」編集長を兼務。

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