日の丸ソーラー産業よ,中国を使い倒してしまえ 太陽光発電は本当に儲かるのか(下)

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最近のニュースでは、やはり起こるべくして起きたソーラー詐欺の話がバラバラと出てきた。ほとんどが一般家庭に売り込みに来る紹介業者で、よくある話が東京都の推薦業者と名乗る業者からの電話に引っかかる詐欺だ。ソーラーシステムを買わないか、と設置業者から電話が来て、今ならキャンペーン中でお買い得だからハンコを押してくれという「押し売り詐欺」も多い。「前払い」を払ったのにいつまで経っても工事に入らないので調べてみると、事務所は存在せずほかの業者の名前を語っていたというケースもある。

こうした手合いにだまされないためには、複数の業者から相見積もりを取ること、必ず業者の事務所に行ってソーラー発電工事の実行例を見学して業者の実力を確認すること、クーリングオフの説明をきちんとできる業者かどうかを確認し、施工会社とともに紹介業者の風評を確認することが大切である。ここまで注意を払うと詐欺に遭うリスクはほとんどなくなるはずだ。

ただし、ソーラー大家を目指す10kW以上のケースは、業者が現場見学会をしていることが多いので悪質な詐欺話は少ないようだ。
何事でも同じだがソーラー発電のようなブームには光と影があるものだ。専門家の意見を聞きながら注意深く進めるに越したことはない。

中国はシリコン素材でソーラー市場を支配へ

実は、多結晶シリコンや単結晶シリコンもレアメタルの一種だ。シリコンそのものの資源量は無限にあり資源制約はないが、高純度シリコンの生産技術が遍在しているからレアメタルの範疇に入れられる。ところが高純度シリコンを還元するためには膨大なエネルギーが必要なので、エコでもなければ環境に優しくもない。ただ単に石炭資源が豊富で安価だから、結果として中国のシリコン産業は競争力があるだけである。

中国は国家戦略として再生エネルギーの開発に注力しているが、豊富な石炭火力発電による多電力消費産業として中国のソーラー産業を支えているのだ。石炭による発電コストは約6円/kWだが、この膨大な資源を利用して多電力消費型産業としてのシリコン産業で急速に世界のソーラー市場を席巻してきたのだ。欧米とのAD問題(アンチダンピング)で中国サンテック社の倒産が起こったが、地球環境の劣化は別にして、中国のシリコン産業はコスト競争力においては他社を引き離していることも事実である。

日本のシャープや京セラやパナソニックも現実にはシリコン結晶素材を中国に依存しており、メードインジャパンといってもソーラーパネルは中国の自社工場で生産しているのである。

次ページでは、日本はやはりダメなのか?
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