マクラーレン570GTは実用的スーパーカーだ 効率を最大限に求めたボディデザインの秘密

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いっぽう、このクルマをデザインしたマクラーレン デザイン オペレーションズのマネージャーであるマーク ロバーツ氏は、「自然界にある要素をモチーフに、空気をガイドするようにボディラインをデザインしました」と、570GTのエクステリアデザインの秘密を語る。

「自然界にあるもの、例えば空気を切り裂き空に羽ばたく鳥の羽、あるいは水滴が落ちる様子など、このクルマのデザインの根底にあるのはそうした自然界の何かからインスピレーションを得たものです。これはとてもロジカルで、シンプル。自然界にあるあらゆるカタチは、長い年月をかけて培われたはずです。我々が(3つのシリーズを持つ市販モデルで)目指したのも同様です。それはナチュラルであり、ロジカルであり、シンプルなものです。特に美しい流れにこだわっています」(マーク ロバーツ氏)

実車を見て分かるのは、他のどのスーパーカーメーカーにもないエアロデザインへの取り組みである。ロバーツ氏は、「空力だけを考えれば、大型のフロントスポイラーやカナード、そびえ立つようなリアウィングを装備すればかなりのダウンフォースを稼ぐことはレースの世界が証明しています。しかし、570GTの主な活躍の場となるのは一般公道や高速道路です。スタイリッシュなグランツーリズモである以上、いかに空力的に優れているからといってこれ見よがしな大型リアウィングの採用は考えられません。その分、ボディの形状で最大限の効率を得られるカタチを我々は考えたのです」という。

確かに、走行中の空気の流れをいかに効率よく後方に送るのかという点に腐心した形状の採用は、例えばドアミラーひとつ、そしてNACAダクトの形状を更に進化させたようなサイドラインを持つドアの立体的な処理ひとつみても理解できる。

スカートの女性でもOK

「我々はデザイン面からポテンシャルの向上にアプローチしますが、エンジニアリングを尊重します。エンジンやシャシーといったハードポイントです。例えば、この形を実現したいからといって、エンジンの搭載位置を変更して欲しいなどと一方的に言うことはなく、そこは互いの主張を行いながら、(マクラーレンの)市販車としてより相応しくなるようにロジカルに開発していきます。15名のスタッフを有するデザイン部門の開発プロセスは、非常にエキサイティングで充実しています」(マーク ロバーツ氏)

次ページ実際に570GTに乗り込んでみると…
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