ソフトバンク株主総会、孫社長の雄弁 米スプリント買収は通過へ 社外取締役・柳井正氏の発言も

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ディッシュの撤退によって、25日に開かれるスプリントの臨時株主総会ではソフトバンクの提案が承認され、買収完了は7月上旬となる見通しだ。孫社長はスプリントとミーティングを重ねる中で、ネットワーク設備や端末の共同調達、営業費用の削減などで今後4年間に渡り、年間2000億~3000億円のコスト削減が可能だとした。買収に失敗した場合に備えて、業界4位のTモバイル買収を「Bプランとして真剣に検討してきた」ことも明かした。

スプリントが完全子会社化を目指しているクリアワイヤ(スプリント子会社のWiMAX事業者で多くの周波数を保有。ソフトバンクはこの周波数を活用したい考え)についても、ディッシュが買収を提案していたが、クリアワイヤ経営陣がスプリント支持(12日にディッシュ支持を表明していた)に転換したことで、「形成が逆転した」と述べている。

「69歳まで続ける可能性もある」

株主から寄せられた質問の中には、孫社長の健康状態を心配するものもあった。孫社長は「最近も人間ドックを受けてきた。いたって健康と言われたので大丈夫です」と力強くアピール。引退時期を問う質問に関しても、「19歳の時から60代で引退すると決めている。69歳まで続ける可能性もあるので、まだまだある」と話した。そのほか、グループのウィルコム、イー・モバイルを含めた通話無料プランを導入してほしい、という提案に対し、おなじみの「やりましょう」で即決している。

質問の大半は孫社長が回答したが、社外取締役を務める、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長も株主に指名され、「ソフトバンクの良いところは?」という質問に応えた。「良いところは孫さん。それに尽きる。ボーダフォン買収のときも、今回のスプリントも本当にハラハラした。これからも大きな勝負の時にコケなければ世界の歴史に残る経営者になれると思っている」と絶賛。さらに、「(ファーストリテイリングの経営陣から退いても)孫社長が生きている限り、嫌がられようが社外取締役を続けます」と宣言した。この時も会場から大きな拍手が送られた。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光、食品業界の担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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