「しょうがない」という日本語の裏にある潔さ 自分の思い通りにならないから人は苦しむ

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ネイティブの人々はめったに「It can’t be helped.」を使わないそうです。いったいなぜ?(写真 :kuro / PIXTA)
浄土真宗本願寺派僧侶でありながら、通訳や翻訳も手掛ける大來尚順氏による連載『訳せない日本語~日本人の言葉と心~』。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボによりお届けする。

「しょうがない」は英語でどう表現すればいい?

アルファポリスビジネス(運営:アルファポリス)の提供記事です

渡米したての頃の話ですが、私は英語を話す前に、先に伝えたいことを日本語で考えて、それを英語に翻訳するというプロセスを踏んでいました。そのため、どうしても英会話のキャッチボールではワンテンポが遅れるというか、若干のズレが生じ、もどかしさをよく感じたものでした。そんな時、「この日本語は英語で何て表現すればよいのだろう」と思っていた言葉の一つに「しょうがない」(「しかたがない」)がありました。

これは、自分に他者に言い聞かせる言葉の一つだと思います。私自身、自分の決断や物事をあきらめるとき、友人や知人の決断や状況に同調したり、慰めたりするときなど、さまざまなシチュエーションで口にする言葉です。

この「しょうがない」という言葉は、通常は英語では「It can’t be helped.」と表現されます。直訳すると、「それは、助けられない/避けることができない」という意味になります。これは日本語の「しょうがない」の対訳としてもよく知られる英語の表現で、私も当初はよく使ったフレーズです。

しかし、あるときふと気がついたことがありました。それは、ネイティブの人々はめったに「It can’t be helped.」というフレーズを口にしないということでした。

次ページではどのような表現を使う?
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