資格に走る人が知らない｢社内価値｣の高め方 MBAや市場価値より､ずっと重要なことがある

日本でもプロフェッショナルを目指そうとする人は間違いなく増えているが、全体でみれば、そうしたキャリアを志向する人はあくまでも少数派だ。ビジネスパーソンの大半の人たちは、個の力ではなく、組織のなかで力を発揮し、自己実現する道を選ぶ。

組織人は「石にかじりついてでも出世すべき」

組織の力は偉大である。組織に属する人たちの力を束ね、個では決してできない大きな仕事を実現するのが、組織人の醍醐味だ。組織人として野心をもっている人たちにとってのゴールは、ジェネラルマネジャーになることだ。会社全体や部門の運営に責任を持ち、組織の力を最大限に引き出し、成功に導く役割を担うのが、ジェネラルマネジャーの仕事である。

遠藤ゼミの卒業生の多くは、それなりに大きな組織に属し、ジェネラルマネジャーを目指す人たちだ。私は彼らに「石にかじりついてでも、出世しろ」と檄を飛ばしている。出世至上主義で、出世しろと言っているのではない。出世して、ジェネラルマネジャーのポストに就けば、権限を手にできる。組織のなかで大きな仕事をしようと思えば、絶対に権限が必要だ。

私は一般企業に勤めるビジネスパーソンにとって、役員に昇格できるか否かは極めて重要だと思っている。ビジネスパーソンを「究める」とは、役員に昇格し、ひとつの事業や分野を任されるジェネラルマネジャーとなり、思う存分に力を発揮することだ。組織人に「市場価値」は意味がない。大事なのは「社内価値」なのである。

では、どうすれば早く出世することができるのか。残念ながら、方程式があるわけではない。ましてやビジネススクールではその術を教えてくれない。しかし、間違いなく言えるのは、出世する人はバランス感覚に優れているということだ。個として仕事ができるからといって、その人が必ず出世し、成功するわけではない。組織が大きくなればなるほど、個人でできることにはおのずと限界がある。組織の力を最大限に引き出し、結果を出すことができる人こそが、ジェネラルマネジャーにふさわしい人材ということになる。