シェール革命、「むしろ石油に脚光」 出光興産・月岡次期社長に聞く

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――話題の小説「海賊とよばれた男」のモデルとなった創業者・出光佐三の経営理念、すなわち「人間尊重」「大家族主義」「自主独立」といった価値観は今も変わりないか。

脈々と流れている。会社に何か起きたときに社員がひとつになって、上からの指示なしに動けるという、すばらしいものが今もある。そして社員が“自律”している。ほかのものにとらわれず、外部の圧力に左右されることなく、つねに消費者、人間にとっていいのかを考える。自らの志と価値観をベースに正しいことをやる。そうした姿勢が社員一人ひとりに受け継がれている。

大企業病回避にはスピード感と柔軟性が大事 

出光佐三は「自分に薄く、人のために尽くすことが、民主主義の本質」と語っている。日本人が昔から大事にしてきた和の精神を大事にする社風を今後も守っていきたい。

――一方、近年反省すべき点や新社長として変えていきたいことは。

大企業病というか、組織が大きくなったことによる問題点が出ている。自分の組織を守ろうとおもんぱかって、行動が慎重になりすぎている面がある。もう少しスピード感を持って、柔軟に課題を片付けていくことが大事だと思う。

出光が上場(2006年)したことで、ガバナンスやコンプライアンスをきちっと守っていく会社になったことはいいが、逆にルールに縛られて、挑戦する気持ちが社員全体に薄れてきた気がする。現場のコミュニケーションをよくしながら、そうしたことを若い人に伝えていきたいと考えている。

(撮影:今井 康一)

中村 稔 東洋経済 編集委員
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