シェール革命、「むしろ石油に脚光」 出光興産・月岡次期社長に聞く

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そのため、そうした安い原料にアクセスしていく必要があるということで、当社は米国のダウ・ケミカルと提携し、同社製造のエチレンを原料としてアルファオレフィンを現地で製造することを決めた。これからは海外の安い原料にアクセスしないで事業を継続することはますます難しくなるだろう。

さらなる業界再編は必要だが、出光にその選択肢はない

――国内の石油需要の構造的漸減は変わりなく、過剰供給の是正は長期的課題。業界各社は合併統合や高度化法による製油所閉鎖を続けてきたが、さらなる再編は不可避か。

需要減退の中で、結果として製油所の数は減らざるをえない。その中で会社を統合し、競争力の弱い製油所をなくしていくやり方は正しい。これからも石油業界では再編が必ず起きてくると思う。

そうした環境下で出光はどうするか。石油業界大手で創業来、社名がそのままなのは当社と太陽石油ぐらいだろう。出光は、かつて6カ所あった製油所を来年3月には徳山停止で3カ所まで減らす。高度化法がなくても、自ら供給過剰問題をにらんで自社で対応してきたものだ。

その結果、競争力のある3製油所体制(北海道苫小牧市、千葉県市原市、愛知県知多市)になったわけで、今ここで他社の効率性の乏しい製油所まで、一緒になって潰していくという作業は選択肢としてない。今は、早く成長戦略へ向けて構造改革を行い、次なる成長の柱を育てる方向にいきたい。

――業界全体では再編はなお必要だが、出光自身にはその必要がないと。

そうだ。われわれは、生産能力よりも販売能力が多いように、つねにしてきた。その意味では、ひとつの責務を果たしてきた。人より先にコスト競争力を高める努力をしてきたつもりだ。

――海外でのM&Aは積極的にやっていく方針か。

資源事業での権益取得もM&Aの一環だが、トレーディング事業でも2年前に北米でニュー・ウエスト・ペトロリアム社というパイプライン・石油卸売販売会社を買収したほか、2012年末には豪州で燃料油販売会社のフリーダムエナジー社を買収した。当社は豪州のボガブライ、エンシャムなどに石炭鉱山を持っており、ここで相当な軽油を使っているため、日本で余った軽油を輸出して、つないでいくというビジネスを考えている。こうしたM&Aは今後も積極的に考えていきたい。

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