点数と偏差値に惑わない"正しい試験の受け方" 3C分析で試験を乗り切れ!

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ここまでは主に、自社=自分と競合=ライバルの観点から、3C分析の模擬試験活用法を検討してきたが、最後に市場=入試問題の観点から3C分析の模擬試験活用法を検討していこう。

東大、京大の問題は半分は捨ててもよい

私たちは、どうしても親心で「少しでもよい点数を!」と考えてしまうが、それは子どもにとって非現実的なプレッシャーになりがちである。先に述べてきたように、日本で最も優秀な受験生層が受験する東京大学や京都大学は、2次試験で50%得点できれば、おおむね合格できる。東京大学に多数の合格者を輩出する開成中学の入試問題も年度により差はあるものの、70%得点できれば合格できる。だから、東京大学や京都大学の入試問題は半分捨ててもよい。開成中学の入試問題も30%は捨ててもよいのだ。

私たちパパやママがサポートできること、それは、「全部解けなくても合格できる。捨ててよいもの、できなくてもいいものがあるんだよ!」と教えてあげることである。

ビジネスとは、捨てることの連続だとも言える。限られた時間、限られた予算、限られた人員の中でベストを尽くす。ベストを尽くすが限られたリソースの中では、目標すべてを達成することはできない。だから、少なくとも必要な範囲をカバーし、ベストを尽くすことがビジネスの目標となる。

模擬試験も同様で、何でもかんでもできなければならないのではない。限られた時間、限られた準備、限られた能力の中で、そのパフォーマンスを最大化することが、模擬試験でも本番の試験でも求められていることだ。そして、合格最低ラインを1点でも多くクリアできれば、それで合格である。

いかがだっただろうか。今回は「3C分析」を模擬試験に活用し、どのように結果を判断していったらよいのかということを検討してきた。しかし、模擬試験の活用法は、これだけにとどまらない。模擬試験の価値を最大化するにはどうしたらよいのか、その秘訣は結果返却後にある。そこで、次回は、模擬試験の結果返却後の価値最大化について検討していこう。

牧田 幸裕 名古屋商科大学ビジネススクール 教授

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まきた ゆきひろ / Yukihiro Makita

1970年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科修了。ハーバード大学経営大学院エグゼクティブ・プログラム(GCPCL)修了。アクセンチュア戦略グループなどを経て、2003年日本IBM(旧IBMビジネスコンサルティングサービス)へ移籍。インダストリアル事業本部クライアント・パートナー。IBMでは4期連続最優秀インストラクター。2006年信州大学大学院経済・社会政策科学研究科助教授。2007年准教授。2018年より現職。名古屋商科大学では5年連続ティーチング・アウォード受賞。著書に『デジタルマーケティングの教科書――5つの進化とフレームワーク』(東洋経済新報社)などがある。

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