英語プアの日本人は、ますます下流化する 安倍政権の英語政策にモノ申す

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日本人が英語を話せない理由を、日本の教育界はこれまでさんざん論争し合ってきた。しかし、最も単純なことを忘れている。それは、「8年間もやった」という数字のトリックにだまされて、その中身を見ていないことだ。

英語の授業は、中学、高校とも、たいてい毎日1時間(1コマ)はある。そこで、週5日授業があるとして、1年を52週とすれば、5時間×52週=260時間となる。しかし、実際には夏休みも冬休みも春休みもあるので、授業があるのは年間約40週とすれば、5時間×40週=200時間となる。では、これを8年続ければ、何時間になるだろうか? そう、200×8=1600時間である。

この1600時間というのは、日数にすると、1600÷24=66.7で、約68日にすぎない。そう、8年間といっても、たった2カ月余りしかあなたは英語をやっていないのだ。普通、留学生が英語漬けの生活を始めて、なんとか英語がわかるようになるのには、早くて半年はかかると言われている。つまり、中学、高校、大学と8年間も英語をやったからといっても、それではまったく足りないのである。

一日中、英語で授業をやればいい

現在、小学校5、6年生は週1コマ英語をやっている。今後、これが小学校4年生にまで拡大されても、やはり週1コマだろう。とすれば、月に4時間、年間48時間、3年で144時間増えるだけだ。たった、6日間である。

これで、英語が話せるようになると考えるのが、いかに馬鹿げているかおわかりになると思う。日本人が英語ができないのは、この時間数の不足が決定的であり、英語が難しいわけでも、また、英語と日本語の言語構造の問題でもないと断言できる。つまり、ネイティブ教師がいて、毎日徹底して英語をやれば、8年や11年もかからずに英語は話せるし、理解できるようになる。

英語教育を低学年化するのもいいが、たとえば1日中、英語で授業をやる。あるいは、毎日、3~4時間はやる。これは英語の授業でなくてもいい。数学や理科を英語で教える、あるいはホームルームを英語にして、子供たち同士で話させるなどすればいい。また、「ノー日本語デー」をつくって、その日1日はすべて英語、日本語を使ったらペナルティというのも、効果的だと思う。

こうしたことを本気でやれば、小学生段階で聞くこと、話すこと、ある程度の読み書きができるようになる。そうすると、あとは教師などいなくとも子供たちの英語力は自然にアップしていく。子供は好奇心が旺盛だから、自身で、本を読んだり、ビデオを見たり、ネットをやったりして、どんどん英語を覚えていくからだ。

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