コンビニ総菜の知られざる“進化” 真空包装マシンの充填技術、極限まで工夫

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パウチを取り出す

このマシンは、包装材を挟んで一瞬のうちにパウチに成型。そこへ食材を流し込んで密閉する。1分間に20~30袋以上のペースで商品を作り上げていく。文章で表現するとあっさりしているようだが、このスピードはこれ以上ないのでは、と思うぐらい速かった。そうしないと、このマシンを導入する食材メーカーの「採算が取れない」(東洋自動機)からだ。

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食材を充填

セブンプレミアムのようなコンビニ食材に求められる競争力を支える工夫は、スピードだけにとどまらない。食材の食感を損なわないために、注射器のような形をした充填部分の押し出す力も高めている。たとえば、ポテトサラダのような総菜の場合、なるべくジャガイモ本来の食感を保ったまま充填したいが、従来のマシンは食材を柔らかくするなど、品質面で妥協せざるをえない場合もあった。最新の充填マシンではポテトサラダの「モサッとした食感を出せる」(東洋自動機)ようになったという。

さまざまな固形物の包装が可能

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さまざまな食材に対応する

このマシンは、セブンプレミアムをはじめとして、コンビニ・スーパー向け総菜の製造に広く使われているという。ポテトサラダ以外にも、豆やミートボールなどの固形物の包装が可能だ。

昨年、日本全国で5万店を突破したコンビニ。セブン-イレブンやファミリーマートといった大手はさらなる大量出店で、店舗網は一段と広がる。そのコンビニを支えるコンビニ総菜は、知られざる“進化”を着々と進めている。

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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