「男女平等」になれば世界経済は25%成長する 女性の活躍は道徳的、そして経済的に正しい

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男女の社会的平等がもたらす効果は大きい (写真: bst2012 / PIXTA)

国連は1年前、17の持続可能な開発目標を採択した。その一つは2030年までに真のジェンダー(男女区別)平等を実現しようというものだった。

女性の社会的地位向上は道徳的に正当であり、経済的にもメリットがある。最近の調査報告では、男女格差が多大なコストを生んでいることが確認されている。

国連事務総長の諮問機関である賢人会議「ハイレベルパネル」の報告によると、国家が男女間の社会的平等を進めれば、教育・健康面の改善や1人当たり所得の増加、経済成長の加速、国際競争力の強化などにつながるという。

学歴格差は解消されているのに

MGI(マッキンゼー・グローバル・インスティテュート)の報告によると、労働市場での男女格差を解消すれば、世界のGDP(国内総生産)の合計は25年までに12~25%増えると予想される。別の調査報告によると、日本や韓国、ドイツ、ペルシャ湾岸諸国など、女性の就業率が低い国々では特にこうした傾向が強いという。

世界全体で小学校を卒業する女児の比率は現在、90%を超えている。大半の地域で大学を卒業する女性の数が男性より多い。こうした状況にもかかわらず、男女間の就業比率には職種を問わずまだ隔たりがある。15歳以上の女性の就業率は世界全体では約50%と、男性の約75%を下回る。

女性の給与水準は男性と比べると低く、労働条件は劣悪で、昇進の機会も限られている。企業や政府で、指導的な地位に立つケースも少ない。女性経営者が率いる企業は、男性をトップとする会社よりも小規模で従業員も少なく、高収益な事業を手掛ける機会に恵まれていない。

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