日本でテロが起きると死者が膨大になる理由 組織的な事態対処医療体制の整備が急務だ

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アフリカの平和・安全保障・安定の促進ミッションで発生する典型的な負傷者のモデル

「周辺地域」ともいえないほど日本から遠く離れた海外の地で自衛官が戦死するという現実に直面した時、日本国民はそれを受け入れることができるだろうか。

冒頭の写真は2016年9月、アフリカ航空宇宙防衛見本市「AAD2016」にて展示されていた、アフリカの平和・安全保障・安定の促進ミッションで発生する典型的な負傷者のモデルだ。自衛隊への新任務付与により、自衛官がこのような姿になる危険がある。海外への自衛官の派遣は、国土が侵略される時の危険とは異なり、さまざまな努力で避けられるはずだが、日本はここに踏み込んだ。

その結果として起きることは、海外での自衛官の戦死にとどまらない。「ハイブリッド戦争」状態によってもたらされるリスクを国民の誰もが負うようになる。国内外の区別なく、日本人がテロや破壊工作の危険にさらされるようになるのだ。

ハイブリッド戦争とは?

「ハイブリッド戦争」とは、国外での軍事行動により現地国民を殺傷した場合、その報復として国内でテロが頻発し、国外での戦闘と国内での事態対処(テロ等)の連携対応を迫られる状態のことである。

自衛隊に新任務を付与し、それを実行してしまったが最後、後戻りはできない。すべての日本人はこの新たなリスクを自覚し、今までのように「国内は安全、海外でも日本人は安全」という意識は早急に改めなければならない。

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