「出産ハラスメント」の深刻な実情 連合の電話相談で働く女性が次々と訴え

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「産休・育休の制度がなく、過去に妊娠した先輩は全員退職している。院長に相談したところ、『制度がないので難しい』と言われた」(正規職員、病院勤務)。

「現在、育休中。会社から、本社勤務であっても、(移動に)3時間かかる工場に週に3~4日、出張させると言われた。これでは、働き続けることは難しい」(正社員・製造業・関東)。

このような悪質な事例も電話相談で寄せられている。

労働基準法では、産前産後の解雇を禁止する一方、一定期間の休業を保障している。男女雇用機会均等法でも、妊娠や出産、産休を理由とした解雇を禁止している。しかし、働く女性の知識の欠如や切迫した事情に付け込んだ悪質なやり方が後を絶たないことが今回の調査結果からわかった。

電話相談を企画した連合・非正規労働センターの村上陽子局長は、「退職届を安易に出したりしてはいけない。問題に直面したら相談を」と呼びかけている。

電話相談で使用したフリーダイヤル(0120-154-052)は現在も受け付けている。また、問題解決のための個別相談にも応じている。

(撮影:今井康一)

 

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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