狙うは美活女子!あの養命酒が挑む新舞台 健康飲料や果実酒を投入、デザインや販促も大胆に

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どちらかと言えば「お堅い」イメージがある養命酒製造が、若い世代を中心とした女性向けという華やかな市場へ商品を投入した背景には、いったい何があるのか。

「従来品とはかけ離れた『うるる酢』のデザインやテレビCMについては、社内でも賛否両論あったが、今までの養命酒とは180度違ったことをするべきだろう、という結論に至った」。養命酒製造の田中英雄常務は明かす。その心には、養命酒製造が抱える構造問題がある。

養命酒製造の直近の業績は堅調だ。前年度(2013年3月期)の決算は売上高120億円(前期比4%増)、営業利益17億円(同25%増)。どれだけ効率的に儲けているかの指標となる営業利益率は14%と高い。高齢化とともに、養命酒の愛飲者が増えているのに加えて、全国で同じ時期に実施していた広告宣伝を、地域ごとに販売が伸びる時期を精査して投入することで、大幅な費用削減も果たした。

“養命酒一本足打法”に課題

ただ、売上高の“構成”には課題がある。実に9割を国内の「薬用養命酒」が占めている。社名のとおりではあるが、いわば“養命酒一本足打法”の収益構造なのである。

一方、近年は大手食品メーカーが相次ぎ健康飲料市場に参入しており、ライバルが急増している状況だ。ドラッグストアを主体とする販路の偏りも、リスクをはらんでいる。同社が実際にダメージを受けたのが、09年の薬事法改正直後。養命酒の主力販路であるドラッグストアでは、薬事法の改正に併せて商品の種類ごとに、売り場を細かく再構築した。この時期、養命酒の販売が低調だったことが祟って、10年3月期の売上高は、前年比で1割以上落ち込んだことがあった。

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