日本株は11月も上昇が続く可能性がある 「トランプリスク」あっても影響は一時的?

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足元では空売り比率が今年最低の水準に低下しており、売り圧力が和らいだ結果、取引時間中の下値が切りあがり、7月ごろまでは重かった高値が相対的に軽くなってきています。

ここからさらに1カ月程度上昇の可能性も?

年初来の高値更新銘柄数の1カ月累計は1650と昨年8月以来の高水準となっています。中小型株を中心に選別物色は着実に行われていることが分かります。物色範囲の広がりを示す1カ月移動平均(MA)の騰落レシオでみても、今年初めて140%台を記録しています。

1カ月平均の騰落レシオは安値圏ではほぼ株価との一致指標ですが、高値圏では騰落レシオが先行指標となります。昨年2月の例では騰落レシオのピーク(2月20日)から21日目の3月23日に高値を記録していますし、10月の例でも騰落レシオのピーク(10月28日)から22日目の12月1日に高値を付けています。経験則からはあと1カ月程度、高値模索の動きが期待されます。

今年に入ってから週次ベースで海外投資家が現物と先物(含むミニ取引)の合計で1000億円以上買い越した週を時間を追って表示すると、わずかに8週のみです。今年の特徴は海外投資家の買い越しが継続しないことです。大幅買い越しは常に1週のみで、3週続いたのは今回と4月だけです。

足元では空売り比率の低下からも分かるように、海外勢の売り圧力は和らいでいるように感じられます。空売り比率からの推定では10月第4週も買い越していると思われ、月間の買い越し額としては4月を抜いて、今年最高となる見込みです。もし11月に入っても買い越しが続くようであれば、明らかに市場の景色は変わります。早い時期に日経平均1万8000円挑戦の芽も出てくると思われます。

荒野 浩 マーケット・アナリスト

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あらの ひろし

あらの ひろし 1971年日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社後、調査部でアナリスト業務に従事。米国勤務を挟み一貫して、日本株の情報・市場分析を行う。1996年に朝日投信委託(現みずほ投信投資顧問)に転籍、調査部長・運用部長を経て、常務取締役投信運用本部長を歴任。 2012年に退職。その後はTV,ラジオ出演などで活動。日本株を中心とした市場分析の経験は約45年に及ぶ。投資Salon「荒野浩のテクニカル・ルームから」は、独立系アナリストのメルマガとして、国内最大規模を誇る。

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