ライバルが改良してきても性能では負けない 三菱航空機、開発のキーマンに聞く

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2015年度中の就航を目指して、三菱重工業が傘下の三菱航空機を通じて開発を進める地域路線向け小型旅客機、「三菱リージョナルジェット(MRJ)」。開発費だけで2000億円近くに上る、同社の社運を懸けた一大プロジェクトだ。
そのMRJが、開発本格着手から6年目に当たる今年の秋、大きな節目となる初飛行を迎える。オールジャパンで開発された初の国産旅客機、「YS-11」の生産が1972年に打ち切られて以降、新たな国産旅客機の開発は日本の航空機産業、そして三菱重工の悲願だった。
初飛行が近づく中、東洋経済オンラインでは、キーマンへのインタビューを連載する。第1回目は、三菱航空機でMRJの機体設計部長を務める二ツ寺直樹氏(49歳)。MRJの設計思想や開発の苦労などについて聞いた。

――MRJの開発体制と開発の進捗状況について教えてください。

設計部隊は空力、構造、装備品の3グループに分かれ、それぞれが連携しながら開発を進めている。私が担当している空力グループは、機体の設計に加え、どこに何を配置するかといった全体のとりまとめが仕事。3グループ以外にも型式証明や全体のスケジュール管理を担当する部署があり、全体で700名近くが開発作業に携わっている。

最初の試験機はすでに製造段階に入っている。機体が完成したら、所定の手続きを経て飛行試験をやる。今の設計は、シミュレーションなどによる仮定数値に基づいたもの。実際の飛行試験をやれば、見直すべき点が出てくるだろうし、逆に期待以上のところもあるかもしれない。これを確認して、修正すべき点を修正し、最終設計に仕上げていく。併せて、実機による飛行・地上試験のデータを使って、型式証明取得に向けた安全性の証明作業をやっていく。この2つが後半戦の大きな仕事になる。

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