事後レポ

「持続的成長」と「高質な対話」
スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンスが、企業と投資家との関係を大きく変える。

日本版スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードが求める長期的企業価値向上のために、ESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)やCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)を考える「ESG・CSV Trend 2016」が9月、東京・千代田区で開かれた。
開会あいさつで、東洋経済新報社常務取締役執行役員の駒橋憲一・データ事業局長は「CSR(企業の社会的責任)をきちんと果たす企業をステークホルダーが評価するには非財務データが重要です。われわれも『CSR企業総覧』などを通してデータ提供の役割を担っていきたい」と語った。
主催:東洋経済新報社 協賛:コムジェスト・アセットマネジメント PwC Japan

講演I 年金基金の視点
インベストメントチェーンにおけるWin-Win環境の構築を目指して
スチュワードシップ責任とESGの観点から

年金積立金管理運用(GPIF)
理事兼CIO(最高投資責任者)
水野 弘道氏

GPIFの水野弘道氏は、約140兆円の運用資金を持つ巨大な機関投資家として、ESGを重視する意味を語った。GPIFは、ユニバーサル・オーナー(資本市場を幅広くカバーする株式所有者)で、おおむね100年にわたって年金財政を均衡させる超長期投資家という二つの大きな特徴があり「いくら高い収益をあげても、環境破壊などの問題は資本市場の別の部分に必ずはね返り、特に長期ではESGリスクが顕在化する可能性が高くなります」と指摘。

資金を預ける運用受託機関のスチュワードシップ責任を重視する評価基準の改定、ESG要素を考慮する国内株式指数の公募などを通じて「投資先企業と受託機関の建設的な対話を促進したい」と述べ、こうした活動の広報にも注力する考えを示した。

講演II 投資家の視点
日本版スチュワードシップ・コードへの対応等に関するアンケートについて
アセットマネジャーがスチュワードシップ責任を果たすための取組みと今後の課題

日本投資顧問業協会
会長
岩間 陽一郎氏

日本投資顧問業協会の岩間陽一郎氏は、投資運用会社を対象にしたスチュワードシップ活動に関するアンケート調査の結果を中心に説明した。同調査によると、企業と議論した課題のトップ3は、企業戦略、企業業績および長期見通し、ガバナンス体制。対話は、株主還元策や資本政策目標設定などの面で有益だったという自己評価の一方、改善の余地があるケースもあった。理由としては、アナリストの力不足といったアセットマネジャー側の課題のほか、企業側にもエンゲージメントへの意識、経営陣の関与の改善を求める声があった。

岩間氏は「活動は緒に就いたばかりですが、着実に前進しています。当該活動に係るコストの問題もあるので、アセットオーナーとも課題を共有し、取り組む必要があるでしょう」と述べた。

プロフェッショナル講演Ⅰ
ESG投資への正しい理解投資プロセスにおけるESGファクターの重要性

コムジェスト・アセットマネジメント
代表取締役
高橋 庸介氏

コムジェスト・アセットマネジメントの高橋庸介氏は「ESGは追加的ではなく、根源的な価値」とする運用戦略を語った。同社はフランスの独立系運用会社で、長期的視点で市場平均以上の成長を維持するクオリティグロース企業に厳選集中投資している。企業調査では、財務分析だけでなく、持続性における社会・環境要素、経営面でのガバナンス要素も加えて価値を判断。投資後も議決権行使や対話を行い、長期的視点を重視するPRI(国連の責任投資原則)に沿った活動をして、その内容を投資家に報告する。

高橋氏は「ESGパフォーマンスが低いだけで投資先から排除することはしませんが、長期的なパフォーマンスにESGの要素を取り入れることはリターンの獲得に貢献しています」と述べた。

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