日本人はなじめない、アメリカの超学歴社会 階級上昇を目指す、熾烈なる戦い

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日米の教育の根本的な違いとは?

日本では、教育レベル(学歴)が社会階層を決めるという考え方が嫌われている。しかし、現実問題として、「いい学校にいくのはいい大学に入り、いい大学に入るのはいい会社に行くため」という価値観は、今日まで続いている。

ただ、一時期「ゆとり教育」に舵を切り、悪しき平等主義から子供の競争を否定するようになった。たとえば「運動会で優劣がつく競技をやめてしまう」とか、「通知表に数字による段階評価をつけない」などの極端なことも行われてきた。

あるとき、娘が通っていたインターでアメリカ人の親と話していて、「何のために子供を学校に行かせるのか?」という話になったとき、その親はこう答えた。

「自分の子の能力がどれくらいか教えてもらうため。大勢の中でどれくらいの順位か知りたい。それがわからないと、将来を決められないから」

つまり、学校に行かせるのは順位をつけてもらうためだったというのだ。

しかし、日本の親は、自分の子供が他の子供と比べられることを極端に嫌う。だから、学校ではみな同じように扱えと要求する。これで、ゆとり教育が進んでしまったのである。

日米どちらの親が、子供の将来のことを本当に考えているだろうか?

インターに限らずアメリカの学校では、レポートカード(日本の通知表に当たる)にGPA(4.00点を最高とする数値評価)が記入される。そうして、GPA3.00点以上の成績を取った生徒は、名前と点数が学内のボードに掲示される。また、成績が1番手の生徒には「ファーストオーナー」、2番手の生徒には「セカンドオーナー」の称号が与えられる。

一流大学では、「セカンドオーナー」以上を平均して取っていないと、入学を認められない。だから、この「オーナー」をもらいたいがため、子供たちは勉強する。

アメリカと日本の教育の違いについて、いろいろな見方・意見がある。しかし、もっとも端的に言えば、「日本の学校は勉強させない。アメリカの学校は勉強させる」(もちろん、一部の日本の学校は違う)。これだけだろう。

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