日本人はなじめない、アメリカの超学歴社会 階級上昇を目指す、熾烈なる戦い

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MBAばかりが留学ではない

とはいえ、大学・大学院は、将来の社会階層を決める、つまり「おカネを多く稼げる階層」になるためにだけに行くのではない。純粋に学問・研究のために行く学生も多い。今はMBA全盛時代だが、その修得だけを目指すのは、アメリカ留学の目的としては考えものだろう。

ハーバードの大学院GSS(グラデュエートスクール・オブ・アーツ・アンド・サイエンシズ:graduate school of arts and sciences)のある学生から、こんな話を聞いたことがある。

「入学したときに担当教授から、君たちは将来お金持ちになることはありえないが、それでもいいのか?と、まず言われました。で、イエスと答えると、なら一緒に頑張ろうと握手です。そうして、おカネではプライドは買えない、プライドは高く持てと言われました」

GSSの学生たちは、ビジネス・スクール(HBS)の連中を「カネのために勉強に来ている奴ら」とバカにするという。HBSは、メインキャンパスからチャールズ川を挟んだ向こう側のボストン市オールストンハーバードにある。だから、GSSの学生たちはHBSの学生を、「アクロス・ザ・ブリッジ」“across the bridge”(川向こうのやつら)と呼んだりするともいう。

日本ではMBAがもてはやされすぎだ。アメリカではエンジニアリング・スクールの人気も高い。エンジニアリング・スクールの出身者として有名なのは、GEの元会長ジャック・ウェルチ氏だが、『フォーチュン500』に登場する企業のCEOを見ると、ビジネス専攻の出身者より、エンジニアリング専攻出身者のほうが多い。

これは、アップルやグーグルなどのIT企業の全盛時代という時代性を顕著に現している。

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