日本企業がカーブアウトを活用し始めた!

投資ファンドを使って事業を切り出し

気がつくと、米国経済のGDP(国内総生産)は日本の4倍で、中国も日本の2倍ある。1980年代に日本企業が隆々としていた時代に、日本的経営は少し違和感を持って受け止められていたものの、日本経済の存在感があったので日本的経営も認知されていた。しかし、3%経済になると、日本的経営の合理性、存在意義を認めるのはなかなか難しい。エクイティバリューを意識するのが世界の(経営の)潮流だし、日本経済の位置づけが世界の中で小さくなるのに伴い、日本企業の経営も変わらなければならなくなってきた。

――足元の動きは、過去のカーブアウトの波と異なりますか。

朝倉 (不良債権処理がピークだった)当時は強制される形で、山ほどのディールが出てきた。世界中からおカネが集まって、大パーティのような状態に一瞬なった。今回はそういう状況ではなく、プライベート・エクイティ・ファンドを含めてきわめて抑制的だ。

過去のいろんな経験を積んだプロフェッショナルがマーケットで増えてきているので、短期にやたら買いに走るということでなく、ディシプリン(規律)をきちんときかせた運用方針をそれぞれのファンドが貫いていると思う。いま残っているファンドは20年選手。栄枯盛衰をみてきているので、短期的なトレンドに過剰反応することはないようだ。

前向きな企業と関心のない企業にはっきり分かれる

――カーブアウトに前向きな企業とそうでない企業の差はありますか。

朝倉 はっきり分かれる。自分で(事業再編を)ほぼ終わっている会社と、課題がまだ残っているので投資ファンドを使ったり、事業会社同士のM&Aを一生懸命検討しているところ、そして、相変わらず(事業再編などに)関心のない会社と、3つくらいにはっきり分かれる。

もちろんわれわれも、たとえば子会社の売却話が出たら、どんな案件にでも闇雲に突っ込んでいくようなことはしない。他の事業者やファンドと比べて、対象会社にとってより付加価値の高い提案ができるかどうか。その点をしっかり見極めて、我々の取り組むべきディールだと思えばしっかりした提案をしていく。

三菱商事と三菱東京UFJ銀行という2つの親会社のジョイントベンチャーなので、この2社のカルチャーを吸収しており、普通のファンドと比べると、もっと長期で投資案件をみている。投資のリターンも、レバレッジ(負債比率を高めてリターンを上げること)やアービトラージ(裁定取引)を源泉にするのでなく、事業価値そのものを上げてリターンを追求していく。

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インテル中興の祖、アンディ・グローブ。数々の英断で、プロセッサー半導体市場で無双の企業を作り上げた。グローブの愛弟子である、インテル全盛期のトップが語る技術経営の神髄。