ショップチャンネル、「1日20億円」への超挑戦 11月1日に大記録に挑むワケ

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日本のテレビショッピング市場規模は5223億円(主要上位30社合計、2015年6月~2016年5月、通販新聞調べ)で、売上高は1394億9400万円のショップチャンネルが首位。2位が963億円のQVC、そしてテレビ通販売り上げが415億円(全体売り上げは1559億1400万円)のジャパネットたかたがこれに続く。

首位を走るショップチャンネルの強みは、練りに練った演出と番組構成にある。吸引力を示すために掃除機でボーリングの玉を持ち上げ、包丁の切れ味を伝えるためにトマトを切り、顔にファンデーションを塗りたくって美白効果を訴える。実演だけでなくフリップやCGを使い、あの手この手で商品の良さを伝えようとする。

生放送を切り盛りするディレクターが睨んでいるモニターには、視聴者からかかっている電話の本数や受注状況がリアルタイムで映し出される。コールセンターに寄せられた視聴者の声もすぐに伝えられる。視聴者が「バッグの底が見たい」と言えば、ディレクターがイヤホン越しに「バッグの底、見せて!」と叫び、即座にはキャストが「底はこのように頑丈で…」と説明し、視聴者から「服の裏地は」と聞かれれば「裏地見せて!」と指示が飛ぶ。インターネット並みの双方向性を力技で実現させているのだ。

創業から19期連続の増収を記録

その努力たるや涙ぐましいものがある。ちなみに私の知り合いの女性編集者は「深夜に帰宅すると、よくショップチャンネルを観る」と言う。「何も買わなくても、見ているだけで元気が出る」からだ。

篠原淳史社長

そんな視聴者に支えられ、ショップチャンネルは創業から19期連続の増収を記録している。ITバブル崩壊でも増収、リーマンショックがあっても増収である。例えばジャパネットたかたは、薄型テレビが売れなくなった時に大幅な減収を記録したが、家電だけでなくファッションから食品まで幅広く揃えるショップチャンネルはラインナップを組み替えることで増収を確保した。

「ここまで続くと、自分が社長の時に記録を途絶えさせたくない。実は結構、プレッシャーなんです」

2007年、大株主の住友商事から転じた篠原淳史社長は真顔で言う。まして今年は創業20周年の節目の年。「昨年と同じことをしていたのでは生き残れないのがテレビショッピングの世界。さてどうしようかと思案していたら社員から『超挑戦』というコンセプトが出てきた。『いいじゃん、それ』というわけで、乗っかることにしました」。

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