青山に、江戸のグラビアアイドルを見に行く

根津美術館「やきものが好き、浮世絵も好き」

東京・南青山の根津美術館で、「山口県立萩美術館・浦上記念館名品展 やきものが好き、浮世絵も好き」が開かれている。浦上記念館のコレクションから名品を選んで紹介する展覧会だ。

コレクションは萩出身の実業家である、浦上敏朗氏が山口県に寄贈した浮世絵と東洋陶磁が基になっている。最も日本らしい浮世絵と中国・朝鮮のやきもの。国もジャンルも違うけれど、どちらも浦上氏が長い年月をかけて、いつくしむように集めた品が並んでいる。

ここでは浮世絵を中心に見てみたい。出品作の選定には浦上氏自身が加わり、約5200点の中から刷りのきれいなものを厳選したという。

寛政の美人は16歳

『難波屋おきた』
喜多川歌麿 江戸時代 寛政5年(1793) 山口県立萩美術館・浦上記念館蔵 前期展示

お茶を運んでいるのは16歳のおきた。浅草の水茶屋「難波屋(なにわや)」にいる女の子だ。水茶屋というのは、今でいうカフェのようなところ。スッとした端正な顔立ち、細い腕と小さな手が妙に艶めかしい。おきたは両国薬研堀のせんべい屋の娘おひさ、吉原・玉村屋の芸者の豊雛とともに「寛政の三美人」と言われた。いわば江戸の町のアイドルだ。

難波屋には、おきた目当ての客が押し寄せ、いつもにぎわっていたという。アイドルの存在を知らせるグラビアの役割をしたのが浮世絵だった。浮世絵は、江戸時代から明治の初めごろに女性、役者、風俗などを描いたもので、筆による肉筆画もあるが、多くは多色刷りの木版画。初刷り、つまり最初に刷る単位は200枚ほどで、庶民が気軽に買えるものだった。

『難波屋(なにわや)おきた』は人気の絵師、喜多川歌麿が描いた。「人物の背景が光って見えると思います。雲母を刷った、雲母刷りという技法です。人物を背景から切り離し、くっきり浮かび上がらせる効果があります」と、根津美術館の野口剛学芸第2課長は言う。絵の前では少ししゃがんで見るとわかりやすい。

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