日本株の救世主か、「GPIF」って何 資金運用は世界最大、賃金は世界最低?

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日経平均が大暴落した5月23日の株価ボード。6月に入っても続く乱調相場の中で、日本株の“買い手”としてGPIFに注目が集まっている。

6月にかけての暴落相場の中で、急きょ日本株の“買い手”として浮上したGPIF(年金積立金運用管理独立行政法人)。GPIFは本当に、公的資金による株式運用本格化の先兵になりうるのか――。

政府は、公的年金等の運用のあり方について、見直しに向けた議論を深める。見直しが実現すれば、GPIFなどのアセットアロケーション(運用資産構成)が国債など低リスク資産に偏重している現状を改めて、株式などの運用を拡大させることになる。

これまで検討を行ってきた政府の産業競争力会議が、6月12日に行われる次回会合で取りまとめたうえ、14日にその方針を閣議決定する予定だ。

公的・準公的資金の運用規模は計200兆円

わが国には現在、GPIFが運用する公的年金積立金(約111兆円)のほか、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団のいわゆる「制度3共済」の積立金(約27兆円)など、独立行政法人等が運用している公的、及び準公的資金が合計で約200兆円の規模に達している。

こうした資産運用、なかでもGPIFの資産運用のあり方をめぐっては、かねてより、国内外から問題点が指摘されてきた。

たとえば、OECDは2010年12月、「GPIFのガバナンス及び資産運用方針改善案」と題するレポートを公表している。同レポートでは、GPIFが世界最大規模の運用資産を保有するにもかかわらず、ガバナンス上問題点があり、その運用方針にあまり明確な正当性はなく、「OEDC諸国の準備基金の中でも特異である」と、きわめて低リスク資産に偏重しているその運用スタイルを批判的に分析した。

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