「イヴォーク」のオープンはこんなにも楽しい

レンジローバーのSUVが持つ予想外の操縦感

ソフトトップは時速48kmまでなら走行中にも開閉可能で、ボタンひとつでサイドウィンドウの上げ下げも同時に行われる。オープンにしたときもサイドウィンドウは上げて走っているひとも多いようだが、少なくともイヴォーク コンバーチブルではサイドウィンドウを下ろしていても法定速度内の巡航なら、前席乗員は不快な風の巻き込みをいっさい感じない。

ソフトトップはブラックというのも英国的なセオリーにのっとっていてカッコよい。幌は本来存在してはならない(クルマは無蓋というのが基本)ため、紳士用の傘と同様、英国での基本色は黒なのだ。オープンにすると色使いや造型で洒落た雰囲気の内装を見せることが出来る。それでいっきに華やぐ。そのコントラストもみごとだ。オーナーにはプロムナードドライブ(見せびらかしドライブ)の楽しみになるのである。

レンジローバー イヴォーク コンバーチブル(765万円)は、フルオープン化によってフロアやAピラーまわりを中心に車体各所に極性確保のための補強を入れてある。そのためイヴォーク(4ドア)に対して230kg重量が増して車重は2020kgだ。さきに触れたようにトルクは同一なので、走りに影響があるだろうと考えるのが普通だ。

イヴォーク コンバーチブルは、しかしながら、重さとかかったるさとか、いっさい感じさせないのだ。操縦してみると、じつにきびきびと動くのに驚くばかりだ。最大トルクが1750rpmで発生する設定でもあり、1500rpmあたりの低回転域からたっぷりと力が出る。そのため、アクセルペダルをほんの少し踏み込んだだけで、とても反応いい出足を見せてくれるのだ。

ステアリングホイールを切ったときの車体の動きもよく、しっかり路面をとらえてロールも予想以上に少ない。オープン化によって重いキャビンがなくなり重心高が下がったためだろうか。SUVをまったく意識させないスポーティクーペのような軽快さすらある。僕はこれには本当に嬉しい驚きを与えられた。

2000rpmも回せば法定速度での巡航は可能なので燃費もとうぜんいいだろう。もちろんアクセルペダルを踏み込めばガソリンエンジンらしく滑らかに回転が上昇して、さらにぐいぐいと加速していく。9枚のギアはショックをなく適切なポジションを常に選んでスムーズなドライビングを可能にしているが、楽しみのためにワインディングロードではマニュアルシフトといって自分でプラスとマイナスを積極的に選んで走ることも出来る。僕はオフロードは未経験だが、オンロードがとても似合うクルマだ。

内装のこともさきに書いたけれど、シートはスポーティな形状のものも用意されているうえ、カラーコンビネーションを選択することが出来て楽しい。ブラック系を基調にしながらシート中央部のカラーはレッド系、ブルー系、ブラウン系と豊富なので、ドアを開けただけで気分が浮き立ちそうだ。

先進的安全装備の面でも不足感はない。車線逸脱防止のための警告装置、先行車に自動追従して加減速を行うアダプティブクルーズコントロール、ステアリングホイールを切った方向を照らすアダプティブLEDヘッドランプ、死角にいる隣りの車線の車両の存在を教えるブラインドスポットモニター、縦列駐車や並列駐車を手だすけしてくれるアドバンストパークアシスト、バーズアイビューを使ったサラウンドカメラシステムが揃っている。

スタイルとドライバビリティ、ともに他に類のないSUVである。

(文:小川フミオ)

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