電子たばこ市場、最大手による支配が加速

先鞭を付けた中小メーカーは一段と苦境に

 10月25日、英たばこ大手ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)による同業米レイノルズ・アメリカンへの470億ドルの買収提案で、急変する電子たばこ市場は最大手による支配が加速し、先鞭を付けた中小メーカーは一段と苦境に追い込まれそうだ。ロンドンにあるBATのオフィス前で21日撮影(2016年 ロイター/Stefan Wermuth)

[ニューヨーク/ロンドン 25日 ロイター] - 英たばこ大手ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)<BATS.L>による同業米レイノルズ・アメリカン<RAI.N>への470億ドルの買収提案で、急変する電子たばこ(e-シガレット)市場は最大手による支配が加速し、先鞭を付けた中小メーカーは一段と苦境に追い込まれそうだ。

買収後の新会社は電子たばこの2大市場である米英で大きなシェアを手に入れ、フィリップ・モリス・インターナショナル<PM.N>やアルトリア・グループ<MO.N>などライバルが進める電子たばこ開発への取り組みと真っ向からぶつかる。

従来のたばこは西側諸国で売上高が減少し、電子たばこといった代替製品にはたばこメーカーの未来が掛かっている。

今回の買収は業界内でフィリップ・モリスとアルトリアの再統合などさらなる合従連衡を引き起こすとアナリストはみている。またインペリアル・ブランズ<IMB.L>や日本たばこ産業(JT)<2914.T>といった二番手以降のメーカーの間でも事業統合に向けた圧力が高まりそうだ。

BATとレイノルズは既に電子たばこ事業で技術やライセンスの面で協力関係を結んでおり、BATによるレイノルズ買収で技術開発が加速化、簡易化する見通しだ。

モーニングスターのアナリスト、アダム・フレック氏はBATのレイノルズ買収について「研究開発(R&D)で一貫性を高められるのが最大の利点の1つだ」と話す。

電子たばこ分野では、フィリップ・モリスとアルトリアは加熱式タバコ「iQOS(アイコス)」の立ち上げで協力している。

一方、レイノルズの「Vuse」は米国では最大の売れ筋商品。無煙たばこ「エクリプス」も製造するが、販売ルートは限られている。

BATは「Vype」ブランドで電子たばこを展開しており、医療用のニコチン吸引器「Voke」なども扱っている。

電子たばこ市場は過去10年間で急成長し、ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズによると今年の米国での売上高は41億ドルに達する見込み。長期的な見通しは不透明だが、電子たばこ事業での成功はたばこ会社にとってプラスに働く。

フィリップ・モリスはこの数年間に代替製品の研究開発、生産に30億ドル以上を投資し、BATも5億ポンドを投じている。

規制面の動きも最大手にとって有利に働いている。米食品医薬品局(FDA)は8月、メーカーに対して電子たばこの販売前に政府の承認を得るよう義務付ける新規則を導入した。

当局との間で煩雑なやり取りの経験が乏しい中小メーカーが、長期間にわたる高コストの承認手続きを成し遂げるのは困難だ。最も早く電子たばこ市場に参入したメーカーの1つであるNJOYは9月、販売不振と新規則への対応に伴うコスト増大を理由に連邦破産法11条の適用を申請した。

(Jilian Mincer記者、Martinne Geller記者)

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