ジャバラ型浣腸「ひとおし」は何がスゴイのか ギリギリの宣伝戦略で若年層にアピール

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「コトブキ浣腸ひとおし」は発売10年で累計出荷本数2700万を記録している

「便秘は文明病です。アフリカの自然を走り回っている人達には、ほとんど便秘は無いそうです」

そう語るのは、ムネ製薬の西岡一輝社長。ムネ製薬は、創業100年。兵庫県淡路市で浣腸薬を製造・販売している年商11億3600万円の会社です。

繊維質の食べ物が減って運動不足の現代人は、便秘になりがちです。また女性で便秘に悩む方が多いのですが、これは生活習慣病の側面もあるそうです。朝のお通じがいちばん自然なのですが、お化粧、食事の準備、子供の世話などでトイレにおちおち行っていられません。優先順位が低いのです。そうすると出たいときに出ないので、脳のほうもお通じの信号をサボルようになります。かくして、便秘薬、漢方などがひそかに売れ続けることになります。

「便秘には浣腸がいいんですよ。でも今のところ、薬としては錠剤・漢方などの後のラストチョイスなのが残念です。その優れた効果をもっと知ってもらえたら、と思います」。西岡社長は、ちょっと変わった形のジャバラ型の浣腸を持って、こう言いました。

「コトブキ浣腸ひとおし」開発ストーリー

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浣腸と聞いて皆さんが思い浮かべるのは、イチジク型の浣腸だと思います。ムネ製薬もこの形の浣腸を販売しています。しかしこの形は、樹脂の容器を成形する際、どうしても底の部分が厚くなります。容器を指でつまんでも完全に押しつぶし切れず、液が20~30%残ってしまいます。効能に大きな影響はないのですが、「液が残ってもったいない」「薬が全部入らないと効き目が悪いのでは」と考えるユーザーが多いようです。

業界の著名ブランドと対抗するには、オンリーワン戦略が不可欠です。ムネ製薬は、「もったいない」という声に応える画期的容器の開発を目指しました。

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