韓国大慌て!大統領を突如襲った疑惑の行方 低支持率に悩む朴槿恵氏の盟友が政治介入か

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パソコンには演説文などの文書が44個保管されていたと言われる。その中には、2014年3月にドイツ・ドレスデンで行われ「北朝鮮との統一テバク(大当たり)論」で一躍有名になった演説や、当選直後の2012年12月に李明博前大統領と行った陪席なしの対談もあり、「最近、軍が北韓(北朝鮮)国防委員会と3回秘密接触を行った」という安保上の機密情報も含まれていた。

これらを報じたJTBCは、草稿や文書を保管していたタブレットパソコンを入手した経緯についてこう説明している。

「崔氏はあちこちに事務所を持っていましたが、ほとんどは崔氏側が急いで引っ越ししてしまい何も残っていない状態だった。ところが、その中の一カ所に崔氏側がビルの管理人に処分してくれと置いていった荷物があった。了解を得て、その荷物を入手して中身を確かめたところ、崔氏のパソコンを発見した」(JTBCニュースルーム、10月24日)

しかし、崔氏は世界日報のインタビューで「私はタブレットを持っていないし、使い方も知らない。私のものではない。私がそんなものを捨てるわけがない」と「JTBC」の報道と資金流用に関する疑惑も否定した。

また、「大選(大統領選挙)かその前だったか。大統領とは長い付き合いなので心情を表現することを手伝ってほしいといわれてお手伝いした。国家機密だと思わなかった」「信義で何かお手伝いしたかった。物議を醸して恐縮している。大統領に迷惑をかけて本当に申し訳なく思っている」と話し、大統領の報告書を事務所で毎日見ていたと証言した人物に対しては、「とんでもない話だ。(この人物は)脅迫もしてきて5億(ウォン)くれと言ってきた」と暴露している。

地盤沈下が止まらない支持率

朴大統領の固定支持層は30%と言われ、その支持率はコンクリートと呼ばれていた。4月の地方選挙後の与党惨敗後、29%まで落ちた支持率はその後30%台前半を行き来していたが、しかし、その割れるはずがない、割れてはならない「コンクリート」の壁が崩れ始めたのは疑惑報道がピークに達した10月中旬。朴大統領の支持率は就任後最低の26%(世論調査会社の韓国ギャラップ調べ)まで下がった。

支持の立て直しを狙ったのか、10月24日、国会の施政演説に立った朴大統領は、これまで反対してきた「改憲」について「任期内に行う」と電撃発言をした。

しかし、その夜には演説文の草稿を疑惑の渦中にいる崔氏が事前に閲覧していたのではないかと報道され、翌日には謝罪に追い込まれた。「改憲」はあっという間に水泡に帰し、さらには、機密流出まで発覚。支持率は17.5%まで暴落した(26日、世論調査会社のリアルメーター調べ)。「財団の不正」に始まった疑惑は、今や大統領の友人による「国政介入疑惑」へと変わった。

機密文書の流出が報道された後、韓国のインターネットの検索語の上位は「弾劾」や「下野」が占めた。

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