「3秒ルール」がまるで当てにならない理由 医者の私は落ちたモノをとりあえず食べる!

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私は毎日のように、人々が現金で食べ物を買って、手渡されたものを「細菌に汚染されているかもしれない」などとはまったく考えずに食べているのを目にする。手にしたおカネも、それを持った手も、床よりずっと汚いかもしれないのに。

数多くの研究で、私たちが毎日触っているものがどれほど汚染されているかが示されている。ガソリンスタンドの給油機のハンドル、ATMのボタン、リモコン、照明のスイッチ、パソコンのキーボード――。

あなたのキッチンで最も汚染されているのは、流しのそばに置かれているスポンジである可能性が高い。スポンジを洗ったり、殺菌したりする人は少ない。ガーバの研究によると、スポンジには平均で、1平方インチあたり2000万コロニー以上の細菌が存在したという。

やはり手洗いは大切

こうしたことから気づかされるのは、食事の前には手を洗うのが常に正しいということだ。手洗いは病気を予防するうえでは、やはり最善の方法の一つである。

なお、このようなニュースを聞いた人の反応は、主に二つに分かれる。一つは、あらゆるものに対して潔癖になることだ。取り付かれたように掃除をし始め、手に触れるものすべてを心配し、しきりに手を消毒する。

もう一つは、たいていの人の免疫システムはとても強固であると考えることだ。私たちはみな、気づかぬうちに汚いものに長年触り続け、それでも元気に暮らしている。

私は明らかに後者のグループだ。床に食べ物を落としたとしても食べてしまう。私がそうするのは、床が及ぼす危険は、他の本当に多くの物に比べれば心配するほどではないと考えるからだ。

あなたの感じ方は違うかもしれない。だが、どちらにしても、相対的なリスクに基づいて知識をもって判断を行おう。床に落ちてからの秒数などの、任意の時間で考えてはいけない。

(執筆:インディアナ大学医学部教授Aaron E. Carroll、翻訳:東方雅美)

© 2016 New York Times News Service

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