セミナーレポート

企業の変革は、顧客から始まる!CX3.0時代のサービス・エクセレンス

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特別講演I
お客様と共に最高の歓びを創る〜ANAグループが描くカスタマーサービスの未来像〜

伊東裕氏
全日本空輸
取締役執行役員CS&
プロダクト・サービス室・
貨物事業室担当、
ANA Cargo 会長

ANAの伊東裕氏は、同社の顧客満足の考え方と取り組みを語った。毎日約15万人もの多様な乗客を運ぶANAには、マニュアル、ルールに縛られないサービスが求められる時もある。そこで現場への権限委譲を実施。行動指針「ANA'sWay」への想いをまとめた冊子を配布して浸透を図ったほか、「お客様にこだわる特別予算」運用で、現場の思いを反映したアイデアの具体化を後押しする。クオリティマネジメントでは、顧客満足度指標を経営目標に設定。予約、空港、機内などの顧客接点から声を集めて社内共有し、そこから課題を抽出し、社内横断的に解決する取り組みを進める。伊東氏は「CS向上を通じ、選んでいただけるリーディングエアラインを目指して努力と挑戦を続けます」と述べた。

プロフェッショナル講演I
カスタマーエクスペリエンス戦略の戦術的なソリューションとは?

オリビエ・ジオレット氏
ベリントシステムズ
ジャパン
代表取締役社長

ベリントシステムズのオリビエ・ジオレット氏は「顧客チャネルの多様化で、情報を収集、分析し、すべての顧客接点での一貫したサービス提供は難しくなっています」と指摘。同社のカスタマーエンゲージメント最適化・ソリューション群を紹介した。ジオレット氏は、カスタマーエクスペリエンスプログラム成功の柱として、顧客からのフィードバックを聞き、VOC(顧客の見方、ニーズを反映したデータ)を分析して傾向を把握、その知見を共有、その結果を基に行動する―の4点を挙げた。そうした取り組みを支援するテクノロジーとして、会話をテキスト化して内容を効率的に把握する会話音声分析、内容から関連情報を自動表示してオペレーターを支援するナレッジ管理システムなどの活用の有用性を、実際の導入事例を交えて紹介した。

特別講演II
顧客ロイヤルティの行方─市民発の生活美学運動

金井政明氏
良品計画
代表取締役会長兼
執行役員

良品計画の金井政明氏は、今の顧客から良好なロイヤルティを得るには「信頼という知覚が必要」と述べ、同社が目指す顧客体験を語った。無印良品の原点は、消費社会へのアンチテーゼと最良の生活者を志向する市民発の生活美学運動にある。人間を繁栄させるグローバルの流れに逆らって「自然の中で人も動植物も生かされているという発想で、調和を大事にした『感じの良い暮らし』」(金井氏)という「モデルB」の価値観を世界に問いかけてきた。また、農的生活の中で、現代が失ってきた自然、共同体を取り戻す取り組みにも挑戦。金井氏は「地域で仕事をし、地域の人と一緒に地域問題を解決することを通じて人間本来の皮膚感覚から本質としての"カスタマーエクスペリエンス4.0"を創りたい」と語った。

プロフェッショナル講演II
顧客満足度とNPS®の関係性
〜日本版顧客満足度指標(JCSI)から読み解くCSと
ロイヤルティ〜

人見正人氏
富士通コミュニケーション サービス
サービスイノベーション
推進室 室長代理

富士通コミュニケーションサービスの人見正人氏は、CS(顧客満足)スコアと、友人に薦める可能性を問うNPS(ネット・プロモーター・スコア)の違いに触れ「他者への推奨は責任感を伴うので、NPSの方が精緻なデータが期待できます」と語った。横田喜子氏は、具体的調査データを例に、両スコアが連動しないケースがあることを示した。

NPSで留意すべきポイントとして、話題性と薦める相手・話す場所の有無、技術サポートなど人的サービスの満足度、基本品質の満足度の3点を挙げた横田氏は「NPSが上がらない場合は、この3点の点検を」と述べた。

横田喜子氏
同室グループリーダー

最後に、人見氏は、公的機関が行う調査、JCSI(日本版顧客満足度指標)をデータとして活用することを検討するよう促した。

特別講演III
お客さまからはじまる、顧客満足向上に向けた取り組み

清水哲朗氏
新生銀行常務執行役員
個人総括兼グループ
事業戦略副担当

新生銀行の清水哲朗氏は、CS向上の取り組みを説明した。2000年に商号変更した同行は翌01年、若手行員を集めた100人プロジェクトで、店内にブースを設置するなど従来の銀行にない魅力を追求してきた。10年に銀行リテール力調査3位となったが、その後に急落して12年には22位に沈んだ。清水氏は「業績にとらわれ、ホスピタリティに目が向かなかった」と、12年から原点回帰のプロジェクトに着手。顧客対応をゼロから見直し、ペン入力タブレットでの口座開設手続きなどさまざまな取り組みでCSを回復させ、15年の同調査で1位を獲得した。清水氏は「今後は、時間空間に制約されない資産運用コンサルティングで顧客満足を追求します」と、低金利、投資拡大の時代への対応を見据えた。
 

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