「卵子老化」と戦う、アラフォーの現実は? 急増しているアラフォー世代の妊活事情をレポート

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不妊治療の成功率は32歳ごろからダウン

では、アラフォー世代で不妊治療に取り組んでいる人たちの治療実績はどうなのか。

日本産科婦人科学会の2009年のデータによると、32歳ごろから治療後の妊娠率、生産率(実際に生まれる確率)ともに下がり始める。生産率は32歳で18.6%、37歳で13.9%、39歳では9.7%と1割を切り、45歳には0.5%にまで下がっていく。その一方で、せっかく妊娠できても流産する確率は年齢に応じて増えていく。30歳代半ばから20%を超え、39歳で31.5%に達する。

この世代の、本気で子どもを望んでいる女性やそのパートナーには、「一刻も早く検査や治療をスタートしたほうがいい」と言わざるをえないのが実情だ。

ここで、女性の不妊原因を見ていこう。

現在、女性の不妊原因で最も多いとされるのが「排卵因子」。体質のほか過度なダイエットやストレス、ホルモン異常、そして、卵巣組織に小さな卵胞(卵の袋)がたくさん発生し、卵巣がはれて大きくなる「多嚢胞性卵巣症候群」などによって、卵子が排卵されにくい、あるいはまったく排卵されないというものだ。

排卵因子のほかにも、卵管が詰まったり、癒着が生じたりすることで、精子と卵子が出合えなくなる「卵管因子」、子宮の形に異常があったり、筋腫などがあることで、胚が子宮に着床しにくい「子宮因子」、膣から最も近い頸管に異常があり、精子が子宮内に入りにくい「頸管因子」など、不妊にはさまざまな原因がある。

高額な高度生殖医療 喫煙や肥満もリスクに

近年、不妊治療の現場では、女性の晩婚化、初産年齢の高齢化に伴って、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科系の疾患が増えていることも、不妊を招く大きな原因として問題視されている。

子宮内膜症は本来、子宮の内側にあるべき内膜が外側にもできてしまう病気。月経が繰り返されるたびに進行するので、明治時代など昔の女性に比べ、生涯で経験する月経回数が10倍近く増えている現代女性は、それだけ高いリスクを抱えていることになる。子宮内膜症があると、腹腔内に癒着が起きて卵管を閉塞させてしまい、卵子を取り込めなくなる。その結果、受精ができず、不妊症に至るケースが多くなる。

このほか20~30歳代の若い女性のがん罹患(りかん)率で最も高い子宮頸がんや、30代に急増する乳がんも、妊娠・出産の妨げになる。放射線や抗がん剤による治療期間中は妊娠を控える必要があるうえ、病状によっては、子宮や子宮周りの臓器を摘出しなければならないからだ。

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