ウェブメディアの「検索回帰」が始まったワケ SNSのアルゴリズム変更に高まる不信感

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米紙「ニューヨーク・タイムズ」は2015年夏、1970年以降のほぼすべての記事をHTML形式で掲載し、従来のPDF形式よりもGoogleに見つかりやすくした。すると、同紙の検索トラフィックはたちまち増加したとオーディエンス開発担当副編集長のジャスティン・バンク氏は振り返る。

「ニューヨーク・タイムズ」の編集作業にはSEO業務も組み込まれた。編集者は、Googleのトレンドを追跡し、ニュースになる大きな出来事の前にキーワード戦略を立て、臨時ニュースがあれば見出しを更新する。

また同紙は、Facebookからのトラフィックが、この2年間に2桁増えたことでも注目を集めた。バンク氏は、「検索からのトラフィックに大いに満足している」と話し、検索とソーシャルを「主要なトラフィック源である、非常に忠実で熱心なダイレクトオーディエンスの補完物」と呼んでいる。

とはいえ検索流入も安心できない

AMPを抜きにしても、Googleの検索をマスターすることは、以前より難しくなっている。Googleはかつて、検索結果に表示されるために必要な要素について、もっと率直であったが、現在は多くの変数が存在する。ユーザーのプライバシーを保護するために特定のキーワードも非表示にしているので、記事に人々を誘導するキーワードをパブリッシャーが特定することが一層困難になっていると、パースリーのCEOを務めるサチン・カンダール氏は指摘する。

「もはや、ブラックハット的な裏技を使って、検索結果の1位になることはできなくなった」。

こうした状況を受けて、スリリストは、あまり明快でない検索クエリの特定を試みることになった。特に注力しているのが、主要な収入源であるフードとドリンクの情報だ。ニュース記事の場合、同社はニュースの周期を確実に活用する方法を模索している。

「誰もが、多くの検索に引っかかろうとしている」と、スリリストのロビンソン氏は語る。「多種多様な質問を抱えた人が大勢いる。だから、ほかにはない内容を含むコンテンツに注力している。使えるテクニックはごく限られている」。

Lucia Moses(原文 / 訳:ガリレオ)

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DIGIDAY[日本版]編集部

2015年9月1日にローンチした「DIGIDAY[日本版]」を運営。同サイトでは米「DIGIDAY」が日々配信する最新のデジタルマーケティング情報をいち早く翻訳して掲載するほか、日本国内の動向についてもオリジナル記事を配信している。メディアジーンが運営

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