今後の日本株は「5:3:2理論」を知ればわかる 日経平均1万7000円回復、上昇はどこまで?

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まずは「いったい何が起こったのか?」から見てみよう。 現状を考えると、落ち着いたと言えど、ドル円の現在の水準103円台では、これから出てくる日本企業の決算発表が期待されているわけではない。

ということでいけば、①の50%のファンダメンタルズは市場にとってニュートラルないしはマイナス要因だ。一つ飛ばして③の20%の人気は、20日に辛うじて東証1部売買代金は2兆円に達したが、閑散・不人気相場と言うべき状態は続いている。

すると、いうまでもなく、原因は、「外国人投資家の2週連続買い越し」
に代表される②の30%の需給だ。

50%のファンダメンタルズと20%の人気を見て動け

需給は氷山のようなもので、目に見えるのは一部に過ぎない。株価が上がれば買い戻しを含め、どこからともなく買い方が現れるのが相場だ。需給の改善が継続するとなれば、これからどうなるか? 答えは簡単で、50%のファンダメンタルズと20%の人気次第と言うことになる。

では、投資家はどうしたらよいか? 50%のファンダメンタルズが変わらずに20%の人気だけが上がって来た場合、例えば東証1部の売買代金2兆円以上が1週間くらい連続したら、いったん利益確定だ。

具体的に言えば、「次のマイルストーン」は、4月25日の高値である1万7613円あたりでそうなるかも知れない。もし、50%のファンダメンタルズが変わってきたら、例えば為替が105円を超えたドル高になると、特に107円あたりで企業業績についての楽観論が大きく出て来ることになるだろう。この場合は、50%の株価要因が動くので影響は大きい。4月25日のマイルストーンで一部利確しても、残りはホールドして1万8000円から1万8500円の水準を狙うのも良いだろう。

今回の揉み抜けはコア30中心の動きだったが、これから一気に18000円とはいかない。おそらく上値トライはジリ高型になるだろう。引き続き中小型株の個別物色は変わらないと見る。

予定表を見ると、国内では25日(火)のJR九州(9142)の上場が話題だが、市場への影響は限定的だろう。ただ、海外では、住宅関連指数や7-9月期のGDP等、米国の景気指数が多数発表され、気を許せない感じだ。今後1週間の今週の日経平均予想レンジは1万6800円-1万7450円としたい。

前回のコラムでは、年末の材料としてロシアのプーチン大統領来日に注目としたが、実は米大統領選の第3回候補者TV討論会の中で、そのプーチンが登場した。

クリントン候補からすると、「トランプ候補はプーチンの力を借りてウィキリークスのクリントン攻撃を仕掛けている」となり、トランプ候補は「クリントンがプーチンの支援を受けている」と攻撃していた。米大統領選に、ロシア大統領が絡む面白い展開だが、筆者の中ではますます年末相場でのプーチン来日が注目点となって来ている。もし「平和条約締結へ」ともなれば、日本株の評価は一変すると読む。
 

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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