ホテル戦争の仕掛人? 森トラスト次の一手 森トラストの後継者、伊達美和子氏に聞く

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ただ一方で足元では、これだけ経済が活発化してくると、不動産を買う側が現れるので、売る側も現れる。昨年までは物件そのものが出てこなかったけれども、新年度になってからは案件が増えてきましたよね。

したがって、そうした案件に対して投資をすべきかという、次のステージに向けた投資判断が、今、始まりつつあります。

観光のソフト面に対する予算を

――インバウンド(訪日外国客)も増えていますね。

そうですね。昨年12月ぐらいから外国人のビジネス客は増え始めていますね。特に金融系とか。それまで数年は、インバウンドと言ってもレジャーとか、アジアからの観光客を増やそうとか、そういう流れだったように思います。(観光とビジネスは)種類が違うので、両方をどのように取りに行くかの戦略が重要ですね。

――国に対して望むことはありますか。

観光に対する予算が低いですよね。アジアの他国などと比較して、1000万人とか1500万人以上の訪日客を望むのであれば、もう少し投資を増やすべきですね。

日本はどうしてもインフラ投資を先行してしまう。大震災の復興やその他のインフラを含めて、ハード面は今かなり厚みが出ていると思います。その結果、ソフトインフラの部分が開発されていない。

たとえば道路に100億円かけた場合と、海外インバウンドへのプロモーションに100億円をかけた場合の経済波及効果を比較してみてはどうか。道路にももちろん波及効果があります。観光サービスにも、海外客の集客に結び付くことによって、ほかのサービス業が活性化して労働力が増加するなどの動きがあるはずです。

観光産業をもっと認知させるために、徹底的な分析をしながら表現するべきだし、海外との違いも細かく、小さなことから大規模なことまで分析して、我が国の戦略を、従来とは違った形でもっと考えていったら良いのではないかと思います。

(撮影:尾形文繁)


 

 

 

詳しくは『週刊東洋経済』5月25日号の「沸騰!エアライン&ホテル」を、ぜひご覧下さい。

山川 清弘 東洋経済『株式ウイークリー』編集長兼「会社四季報オンライン」副編集長

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やまかわ きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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