ミクシィ新社長、挽回のシナリオ 異色の経歴を持つ30歳新社長の手綱さばき

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期待を裏切ったミクシィ

かつてミクシィは、日本のネット業界でスター候補の筆頭にあった。脚光を浴び始めたSNSで国内最大、かつ、熱心な利用者を抱えていた。06年9月の上場時の公募価格が予想PER(株価収益率)で100倍を越えていたことも期待の高さを物語る。

しかし、その後の成長は完全に期待外れだ。一時期、SNSで2位だったグリー、SNSに後から参入したディー・エヌ・エーが、ソーシャルゲームという金脈を掘り当て利益を急成長させたのに対し、ミクシィの業績は停滞。時価総額は比較にならない。

直近の13年3月期は、売上高126億円(前期比5・3%減)、営業利益25億円(同17%増)。ゲームの課金収入が伸びたことで、かろうじて増益を確保したが、従来の収益源だった広告収入の落ち込みに歯止めがかかっていない。14年3月期は2期ぶりに営業減益となる見通しだ。

苦戦の要因は、事業の基盤となる利用者が落ち込んでいること。会社が公表する月間利用者は12年8月の1470万人(PC、スマホの合算)を更新できないまま。08年5月に日本市場へ参入した米・フェイスブックに国内での利用者数で11年6月に追い抜かれた(PC経由。ニールセン調べ)。

現在の主戦場であるスマホ分野では11年6月にサービスを開始した無料通話・メールアプリの「LINE(ライン)」が躍進。LINEの登録ユーザーは1億5000万人(うち国内は4500万人)を超える。ネット業界でミクシィの存在感はますます薄れている。

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