英語の達人が説く極上のスピーキングとは? 日本の英語教育を変えるキーパーソン 石渡誠(下)

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安河内:口を動かさないといけないですね。

石渡誠
ランゲージ・ティーチング・レボリューションズ代表取締役
松本亨高等英語専門学校卒後、21歳で同 校専任講師に就任。5年間の教鞭後、米国に留学。南アラバマ大学でコミュニケーション学と英語学、ジョージタウン大学院にて日本語講師を勤めながら同大学 院で英語教授法修士号、4年間で学士・修士号を取得。帰国後は松本亨高等英語専門学校を引き継ぎ、教育現場にて英語教育に専念。2004~12年カプラ ン・ジャパン代表。カリキュラム構築、マネジメントを手掛ける。ユニークな指導方法は、米国ABC放送や、ウォールストリートジャーナル誌などで紹介され る。2013年にトップレベルの英語発信力養成に特化した英語学校FORWARD—English School for Change--を開校。著書に「英語を本気でモノにするための心構え」「英語を本気でモノにするための学習法」などがある。

石渡:ええ。思い をとにかく伝えるという努力をすることは、実はインプットにつながるんです。英語で何が言えないのかが、はっきりと認識できますから。

「これを英語では、 どう伝えればいいのかな?」と思ったら、聞いたり調べたりして表現を覚えればいいのです。ある発音がつたなくて通じなければ、それを直すように練習すればいいのです。アウトプットの多さがインプットの多さを高めてくれるのです。自分で必死に英語を発して使おうとすると、もっと英語を学ぼうという気持ちになるものです。

ところが、多くの人はアウトプットの努力がないために、漠然と「ああ私は英語ができない」と感じているだけで、具体的に何ができないのかさえ、何をするべきなのかさえ、はっきり自覚できていないのです。

ですから、まずはアウトプットすることですね。安河内先生は スピーキングが大切と常々おっしゃっていますが、私も同感です。スピーキング力を上げれば、もっと違ったレベルでリスニング力もリーディング力もライティング力も上げることができます。とにかく「何かを伝えたい!」というスピーキングがまずあり、そこから聞き、読み、書く、こととつながっていくのが、言語習得のプロセスですね。

以上のような観点から、本来であれば、英語のクラスでは先生はもとより、生徒同士でも英語で話す時間を多く持つべきです。

また、スピーキング以外のアウトプットとしては、独り言や日記を書くというのもお勧めです。私自身もこの2つをずっとやっていました。

言葉は人となりを現す

安河内:独り言や日記を英語で書くのは、相手がいなくても自分1人でできるお手軽なアウトプットですよね。

石渡:それから、生徒に声を大にして伝えていることがもうひとつあります。それは「言葉というのは人となりを現す」ということです。言葉には表面的なテクニックだけでなく、もっと深いものがあります。もちろん、発音や文法も大切ですが、それらとは別に「話し手の言葉がどう聞き手に伝わるのか」が重要なのです。

単純な例を出しますね。英語をやりたい理由を聞くと「海外の友達をたくさん作りたいから」という答えをよく耳にします。ところが、日本人の友達がほとんどいないという人も中にはいるわけです。そういう人が英語の文法や発音がうまくなっても、海外の友達がたくさんできるかは、かなり疑問ですよね。

安河内:ああ、日本語でのプレゼンが下手な人は、英語でプレゼンしても急にうまくなるようなことはありませんからね。

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