稲田防衛相も視察した南スーダンPKOの苦渋 自衛隊員の「武器使用」をどう解釈すべきか

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南スーダンのPKO部隊視察で、軍の栄誉礼を受ける稲田防衛相(写真:共同)

南スーダン共和国は2011年にスーダンから分かれて独立した新生国家だ。国際連合や各国は独立とほぼ同時に南スーダンへの支援を始め、「国連南スーダン平和維持活動」(UNMISS)の設立を安全保障理事会決議第1996号によって決定した。翌2012年、日本はUNMISSへ、司令部要員および施設部隊などを派遣した。

そして今、自衛隊の派遣部隊に、NGO(非政府組織)や他国のPKO(国連平和維持活動)部隊の救援に対し、「駆けつけ警護」する任務を付与する準備が進められている。日本の場合、これまでPKO要員は自分を守る場合のみ武器の使用を認められていたが、これからは保護の対象が”他人”にも広がることになる。2015年に成立した安保関連法の改正によって可能となったためだ。

自衛隊が他国のPKO部隊を守るということ

しかし、この間、南スーダンの状況は非常に悪化し、人道危機も発生している。肝心の南スーダン軍の士気や規律も著しく低下していると伝えられている。他国のPKO部隊では、基地が襲われ、多数の死傷者も出ている。そんなことから国連としてPKOを維持できるか疑問さえ出てきた。

また、日本としては、自衛隊員の安全をいかに確保するかも問題だ。稲田朋美防衛相が厳しい日程を割いて現地を訪問したのは、このように悪化する状況を自ら確かめ、今後の対応を検討するためだったのだろう。

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