懸垂くらいできる“タフな女”であれ アメリカで学んだチームスポーツの神髄

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私はテニスやらバスケをやっていたのですが、それらと比べてergの練習がシビアだなと思うのは、1回1回の自分のストロークがメーター記録されていくところです。ちょっと気を抜くと、目の前のメーターのタイムがガクッと落ちます。その度にCoxswainに応援してもらって頑張る、という繰り返しです。

初めのうちは“YOU GOT IT!”って言われても、「何て意味なの?」とか思ったり、“I KNOW YOU CAN DO IT!”って言われても、「もうこんなに疲れてるからできないよ」なんて思ったりしましたが、最近は私も、“YEAH! I CAN DO IT!”みたいな感じでやっています。人って変わります。

勝ったときは謙虚に、負けたときも誇らしく

部活ではフィジカルはもちろん、メンタルをずいぶん鍛えてもらったと思います。

春学期の終わりには、New England(州大会)とECAC(東海岸大会)という2つの大きな大会がありました。 私のボート(Novice1)は練習の成果もあり、New Englandで優勝、ECACでは準優勝で、チーム全体の優勝もいただきました。

こうした部活での経験を通して学んだことを4つ紹介します。

1. 勝ったときは謙虚に

金メダルをいただいたので、式典で表彰されたり写真撮影したりインタビューされたりしたのですが、式典が終わるや否や、コーチからメダルをTシャツの中に入れて隠すように言われました。また、式典が終わった後は、決して順位がどうのこうのという話は誰もしません。1位を取ったというのは、あくまでそれまでの練習の成果が出たというだけであって、誇らしく思うのは大いによいのですが、決して人に自慢するようなものではないからです。

2. 負けたときも誇らしく

クルーのレガッタでは、Betting Shirtsという制度があります。どの大学もBetting Shirts(準ユニフォームです)を来て試合に出ます。試合に負けた場合は、1位の学校に自分のBetting Shirtsを渡すという儀式があります。私もNew Englandsでは十数枚のシャツをもらいました。

大抵の儀式は和やかに“good game”と言ってTシャツ渡してさらりと終わるのですが、New Englandsのときに準優勝だったチームは、私たちのところまで来て、Tシャツを投げつけて去って行きました。悔しかったのでしょう。

ただし、ECACでは、私たちがそのチームに0.4秒差で負けて準優勝に終わってしまいした。ECACは、同じボートメイトでの最後の試合ということもあって、絶対に勝ちたかったのですが、負けてしまいました。しかし結果は結果、誠意を持って、優勝校の健闘を称え、皆でシャツを渡しに行きました。

Coxswainのジュワンが、「先週のあのチームがやったことと同じことをしてはだめ。ここで私たちが堂々とシャツを渡すことで、私たちは、試合には負けたけれど、勝負には勝つの」と言っていたことが印象的です。

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