中国人学生が偏差値牽引!ある高校の「選択」 都内・有名進学校でも中国人高校生が増加

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高校生たちはアニメやアイドルなどの影響で、もともと日本に対する好印象を持っていることや、「できるだけ早い段階から海外で学ばせたい」という両親の勧めによって日本留学を決めるという。彼らの場合、私が以前の記事で書いた受験予備校などを経るケースとは違い、中国でいい大学に進学できないから日本を選ぶのではなく、より幅広い選択肢の中で、チャンスを求めてやってくる。

寺井教頭は言う。

「希望すれば誰でも日本に来られるわけではなく、提携校での選抜試験などをくぐり抜けてやってくる優秀な生徒たちです。日本人と少し違うな、と思うのは、何事にも積極的でパワーがあり、よく勉強すること。どちらかというと理系の大学を目指す生徒が多く、学校としても、それに対応して、数学と理科の授業に力を入れています」

日本人学生にもよい刺激を与えている

寺井教頭が特に彼らを「頼もしい」と感じるのは、英語の授業の時だ。日本人の学生はネーティブの教師が話しかけると恥ずかしがってなかなか答えられないが、中国人学生は臆することなく、積極的に手を挙げて英語で発言するという。

暁星国際高校の学生寮

「春節(中国の旧正月)の時期、中国人学生が一斉に帰国してしまうと、授業が急に静かになってしまい、先生方は困ってしまうそうです。中国人学生がいることで授業全体が活気づき、日本人学生にもよい刺激を与えているのかもしれませんね。これこそ、私たちの狙いのひとつですが、日本人も負けずに頑張って、切磋琢磨してほしいです」

これは日中両国の高校生がともに学ぶ教室での象徴的なエピソードだろう。

同校が中国人学生を受け入れるのは、何も偏差値を上げることや少子化対策ということだけではない。中国の勉強熱心な学生が飛び込んでくることによって、日本の高校生に刺激を与え、「よし、自分たちも頑張ろう!」という学習意欲が湧けばという思いがあるのだ。

また、違うバックグラウンド(背景)を持つ学生と一緒に生活する中で、知らず知らずのうちに異文化交流ができるようになり、国際的な視野を持った子どもに育っていくという効果も生まれる。むしろ、こちらのほうが、日本人の子どもたちにとっても、同校に通う大きな魅力となるかもしれない、と私は思った。

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