「パートタイム社会貢献」という働き方 新世代リーダー Living in Peace代表 慎泰俊

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(2)幅広いネットワークの構築

本業とは別の活動を通して、新しい人脈やネットワークを構築することができます。それがまた仕事の幅を広げ、本業や人生を、もっと彩りのあるものにしてくれます。私の場合、NPOの活動でさまざまな金融機関、事業会社の方々と話をする機会があるのですが、その方と本業でも付き合いが始まることがありました。

(3)マネジメントの経験

若手のメンバーにとっては、これがいちばん大きなメリットかもしれません。日本の企業に勤めていると、20~30代の前半は、上司に言われた仕事をするのが基本です。

しかし社会貢献活動においては、自分が主体となって積極的に活動する必要があります。すると、人を動かす大変さ、難しさが身にしみてわかるのです。こうした機会を通して、仕事に対する理解や、リーダーシップを発揮する経験が得られることは、本業にも好循環をもたらします。

NPOでもパートタイムでも背負う責任は重い

本業で培った高いスキルがあれば、パートタイムという制約のなかでも、世の中の役に立つ活動ができます。しかし、もう1つだけ欠かせないものがあります。それは、責任感です。

LIPの活動は、パートタイムのスタッフの手による、しかも給料が出ない活動であるにもかかわらず、大きな社会的責任を負っています。マイクロファイナンスファンドは、1000人以上の投資家のお金を扱いますし、ある児童養護施設はチャンスメーカーで集めた寄付金を頼りに施設新設のための借金をしています。

こうした活動に「NPOだから」「パートタイムだから」という妥協や甘えは許されません。何かトラブルがあれば、担当メンバーが徹夜することもあります。多くの人とお金を扱う以上、そこまで責任を背負う必要があるのです。

もっとも、こうした活動をしている団体のなかでも、LIPはかなり特殊だと思います。「パートタイムでちょっとお手伝い」をしてくれる活動を求めている団体もたくさんあります。どこまでその活動に責任を背負うか、団体によって考え方もまちまちです。NPOとして児童養護施設などの支援活動を行っている団体はたくさんありますので、関心のある方は問い合わせてみてください。

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