セミナーレポート

問われる、財務・経理部門の進化と真価

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【特別講演】
新しい時代における経理部門のミッション

林總アソシエイツ代表、公認会計士
明治大学専門職大学院特任教授(管理会計)
林 總氏

林總氏は財務諸表の問題点を指摘し、経理部門のミッションや必要な視点、そして目指すべき経理業務システムについて自身の考えを力説した。

林氏は冒頭で「利益が出ていても倒産し、債務超過なのにつぶれない企業があるのはなぜか」と問いかけ、利益と儲けの間に横たわる問題を語った。経営の目的は言うまでもなく利益を増やすことだ。そして会計上の利益とは売り上げと費用の差額概念にすぎない。このことが利益と儲けのねじれを招き、経営のかじ取りを誤る原因にもなると指摘。すなわち事業の目標として利益を強調することは、利益操作を助長し、研究開発や設備投資を控えることにつながり、事業の存続を危うくするまでに経営判断を誤らせる。林氏は経営者にとっての第一の責任は会社を存続することであり、そのために「儲け」すなわち、新たな現金を獲得し続けることだと語る。

また、林氏は現代の経理部門の仕事が財務会計と税務会計に偏りすぎており、管理会計がなおざりにされていると指摘する。経理部門は経営参謀でなければいけない。すなわち、ビジネスプロセス全体の活動情報を経営者に提供するとともに、経営者と共に各部門の活動を統制して会社全体の利益を最大にすることが経理部門の果たすべき使命であると解説した。

最後に林氏は、目指すべき会計システムとして「ビジネスプロセスでの付加価値活動がわかること」「異常が生じたらその発生源にさかのぼれること」「個別企業における付加価値活動だけでなく、グループ全体の価値連鎖が可視化できること」を挙げた。そうしたシステムを構築するためにも、経理業務システムの構築を情報システム部門や外部ベンダーに丸投げすることなく、経理部門が主体となってシステム化を進めていく必要があることを伝えた。
 

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