B787の運航再開急ぐ、ANAの事情 臨時便で、JALに先行

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臨時便は東京(羽田)-札幌(千歳)間の計5便。定期便に空席待ちが発生している夕方から夜の混雑時間帯を中心に飛ばす。23日に定例会見を行った篠辺修社長は、「予約状況を見ると、週末、週の始めなど満席の便もある。需要の強いところは臨時便を出していけば、お客様の利便性にも貢献できるし、われわれとしても収益を上げられる」と、その意義を語った。

需要の多い東京―札幌間で便数が増えることは、旅客にとってもちろんメリットだ。同時に、定期便の運航再開が目前に控えている中で、少しでも早くB787を飛ばそうとするANAからは、JALにはない攻めの姿勢が感じられる。

5月23日に発表された、ANAの4月の旅客輸送実績では、国内線の旅客数が前年比0.9%減の274万4847人、国際線は前年比10.7%減の45万6541人となった。国内線、国際線ともに、大幅増の計画を立てる中、マイナスのスタートとなってしまった。

その最大の要因がB787の運航停止だ。4月も国内線だけで、10路線633便が欠航。加えて、新たな旅客機の受け渡しも滞っており、3月末までに受領するはずだった3機のデリバリーも遅れている(うち1機は先週に受領)。

今年度は強気な見通し

一方、ANAは、4月末に今年度(2014年3月期)の見通しを発表。JALが当期の旅客数を国内線で1.8%増(前期は3.6%増)、国際線で3.3%増(前期は9.9%増)で見ているのに対し、ANAは国内線を5.4%増(前期は5.3%増)、国際線を20.9%増(前期は6.7%増)と計画する(ANA国内線の数値は子会社の格安航空会社エアアジア・ジャパンの分を含む)。事業規模も競争環境もほぼ同じ、ライバル2社の数値とは思えないほどの差だ。

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